2012年のリリース以来、多くの登山者からの人気を集めてきたサロモンのロングセラーモデル「X ULTRA（エックス ウルトラ）」。本モデルが、今年の3月にアップデートされた。

「X ULTRA（エックス ウルトラ）」は、ヨーロッパ最高峰のモンブランを一周する「ツール・ド・モンブラン（TMB）」を一足で踏破することを目的に開発されたシューズ。砂利道や岩場、泥地、急勾配などあらゆる地形に対応し、長時間歩き続けられるのが特徴だ。新発売の「X ULTRA 360」も、そのコンセプトは踏襲しつつ、さらに軽く軽快に歩けるように改良されている。

大きく変わったのは、エコフレンドリーな素材の採用により軽量化を促進した点。アッパーにはリサイクル素材を49%、ミッドソールにはリサイクルされた電気ケーブルを8%使用。その結果、ローカットで372g、ミドルカットでも393gという軽さを実現した。

近年は、登山用具のUL（ウルトラ ライト）化が加速し、テント泊縦走でも荷重を10kg以下に抑えることも可能となった。そのため、ハイカットよりも足さばきが軽快なローカットシューズを選択する登山者が増えている。「X ULTRA 360」も、そんなトレンドに合わせて、ローカット、ミドルカットの両タイプをリリース。荷物がそれほど重くなく歩きやすさを重視するなら、ローカットモデルがおすすめだ。

「X ULTRA 360」がどんな地形でも軽快に歩け、しかも長時間歩行でも疲れにくいのは、ボトムユニットに搭載された「アドバンスドシャーシ」、「エナジーセル」、「コンタグリップ」という3つの機能が効力を発揮するからだ。

「アドバンスドシャーシ」とは、アウトソールに埋め込まれた横ブレを防ぐ補強材のこと。このパーツは横方向のねじれに強く、疲労を軽減してくれる。それでいて、縦方向の動きは妨げないので、シューズの柔軟さを損なうことがない。

そして、ミッドソールには高クッション性と高反発性を併せ持つ素材「エナジーセル」を使用。こちらは、サロモンのトレランシューズにも使用されているもので、地面からの衝撃を吸収・緩和。さらに着地したときに高い反発力が生まれるため、最小限の筋力で足を自然に前に進めることができる。

ドライからウェットまでどんな路面状況でもしっかりとしたグリップ力を発揮してくれるのが「コンタグリップ」。このアウトソールは、サロモンが1994年にF1にタイヤを供給するメーカーと共同開発したもので、X ULTRA 360ではAll Terrain Contagrip®を使用。30年以上にわたってサロモンシューズを支えてきた技術は、「X ULTRA 360」にもしっかりと息づいている。

素材をリニュアルしたアッパーだが、サロモン独自のテクノロジーは継承されている。それが、「センシフィット」だ。「センシフィット」とは、シューレースを引き上げると、アッパーパネルが足全体を両手で包み込むようにホールドするフィットシステムのこと。ムラなく均等に圧力がかかるため靴擦れが起こりにくく、長時間でも快適に歩き続けることができる。

また、ローカットモデルにはシューレースをワンアクションで締められる「クイックレースシステム」を採用。これはサロモンの特許技術で、シューレースが緩んだり、ほどけたりする心配がないので安心だ。シューズを履いたり脱いだりする行為が楽になるだけでなく、アップダウンのあるコースでも、状況に合わせて素早く調整ができる。

このように多彩な機能が満載の「X ULTRA 360」だが、価格はローカットが18,700円（税込）、ミドルカットでも20,000円（税込）と、大変リーズナブル。しかも防水メンブレンとしてゴアテックスも搭載されている。円安の影響でハイキングシューズの価格が2～3割アップしているなかで、このコストパフォマンスの高さも魅力的だ。