快晴の開聞岳に登り、指宿温泉ホテル翔月で鹿児島の郷土料理を味わう

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ひとり気ままに山と温泉を楽しむ温泉登山。登山前後に泊まりたい至福の温泉宿を紹介します。第46回は開聞岳(かいもんだけ)に登り、登山前後は指宿(いぶすき)温泉へ。

写真・文=月山もも


鹿児島県の指宿温泉に2泊し、薩摩半島の最南端にある標高924mの山、開聞岳に登りました。10年ほど前の冬に登って以来の久々の開聞岳でしたが、天気に恵まれ海風を感じながら気持ちよく歩くことができました。

寒くもなく暑くもない登山日和の薩摩富士

指宿温泉から開聞岳の最寄り駅である「開聞駅」までは、本数は少ないながらも鉄道やバスが運行しています。指宿駅前を7時に出発するバスで開聞駅へ向かい、駅から30分ほど歩いて登山口へ。

開聞岳の登山口は「かいもん山麓ふれあい公園」という公園になっており、緑の芝生が広がるキャンプ場もあります。ここに前泊して登山をするのも楽しそうだな・・・などと考えつつ、歩き始めます。

開聞岳の登山口は「かいもん山麓ふれあい公園」

公園を抜けて登山道を登り始めると、普段登っている本州の山とは植物の雰囲気が異なり、シダ植物が非常に多いことに気がつきます。

開聞岳の登山道

山頂までは樹林帯を2時間30分ほど、ひたすら登っていくことになりますが時折海を眺められるポイントがあったり、火山らしく大岩がゴロゴロしている道があったりと飽きません。

開聞岳の登山道
開聞岳の登山道

山頂はあまり広くはなく、登山日和の休日とあって人で溢れていました。九州最大の湖である池田湖も山頂からはっきりと眺めることができ、満足して来た道を戻ります。

開聞岳の山頂
開聞岳の山頂

帰りは鉄道で開聞駅から指宿駅へ。途中停車する日本最南端のJR駅「西大山駅」では少しだけ停車時間があり、登ってきたばかりの開聞岳をホームから眺めることができました。

日本最南端のJR駅「西大山駅」

開聞岳は「薩摩富士」とも呼ばれますが、まさに富士山のように美しい円錐型の山容でした。

自宅のようにくつろげるフローリングの洋室

開聞岳登山の前日と翌日には、指宿温泉の「ホテル翔月」に2連泊しました。指宿駅からは徒歩15分ほどと徒歩圏内にあり、目の前に錦江(きんこう)湾を望む海辺の温泉付きホテルです。

オーシャンビューの客室が多いホテルでしたが、2泊するのでなるべく宿泊料金を抑えたいと思い、山側の洋室を予約していました。海は見えませんが日当たりのよい明るい部屋で、なんと窓辺にバスルームがあります。

指宿温泉「ホテル翔月」
指宿温泉「ホテル翔月」

部屋のお風呂は温泉が出るわけではないのですが、改装して間もないようで浴槽などの設備もきれいで新しく、外を眺めながらお風呂に入るのも楽しそうです。また、部屋はフローリングなので、靴を脱いで自宅のように過ごせるのもうれしかったですね。

朝風呂の後に錦江湾からのぼる日の出を眺める

浴室は大浴場が2箇所あり、朝と夜で男湯と女湯が交換になります。湯量豊富で内湯も露天風呂も広々。うっすらと笹濁りのナトリウム塩化物温泉は新鮮さの感じられるとてもよいお湯でした。

指宿温泉「ホテル翔月」

夕食後は登山の疲れもあって早々に眠りにつきましたが、早朝に起きて朝風呂へ。

指宿温泉「ホテル翔月」

誰もいない大浴場ですばらしいお湯を一人でゆっくりと楽しんだ後は、宿の玄関前に向かいます。ホテル翔月は錦江湾に面した宿ですが、晴れていれば宿の目の前から日の出を眺めることができるのです。

指宿温泉「ホテル翔月」の玄関前から日の出を眺める

日の出前から空は真っ赤に染まり、やがて朝日が昇ってきました。春らしく霞がかかっていましたが、そのせいかこれまで見たことがないほど鮮やかな朝焼けでした。

カツオのたたき、とんこつ、黒豚ステーキに鶏飯

では、時間を遡って昨晩の夕飯のご紹介です。 食事は、朝夕共に食事処でいただきました。お風呂上がりで喉が渇いていたので生ビールのジョッキをオーダー。

指宿温泉「ホテル翔月」の夕食

料理はもちろん鹿児島県産の食材や郷土料理が目白押しです。

指宿温泉「ホテル翔月」の夕食

お刺身は、たっぷりの薬味と一緒にいただくカツオのたたき。鹿児島県では、遠洋で一本釣りしたカツオを船上で活け締めして急速冷凍した「ぶえん鰹」と呼ばれるカツオが有名です。ゴールデンウィーク頃はちょうどカツオの旬でもあるのでこのタタキも大変おいしくいただきました。

指宿温泉「ホテル翔月」の夕食

それから鹿児島県の郷土料理「とんこつ」も。豚の骨付きのあばら肉を、大根やこんにゃくなどの野菜と一緒に味噌煮込みにした料理です。普段から鹿児島料理のお店に行ってとんこつを注文しているくらいこの料理のファンなので、本場の味を楽しめたのはうれしかったです。

指宿温泉「ホテル翔月」
指宿温泉「ホテル翔月」

メイン料理は「黒豚のステーキ」を卓上で焼いていただきます。〆のご飯は、鹿児島県の中でも奄美地域に伝わる郷土料理の「鶏飯(けいはん)」でした。ほぐした鶏肉と錦糸卵をさまざまな薬味と一緒にご飯にのせ、鶏ガラのスープをかけるというもの。お茶漬けのようにサラッと食べられてしまうのでお腹いっぱいでも完食でき、最後まで大満足。

指宿温泉「ホテル翔月」の朝食

夕食と同じ食事処でいただく朝食は、カツオの佃煮や豚みそ、さつまあげなど鹿児島らしいおかずが並び、ご飯も卓上で炊き上げたばかり。すべておいしくいただきました。

*紹介した食事、サービスの情報は2023年4月取材時の内容です。

ホテル翔月

ホテル翔月
料金 1泊2日付き/15,000円~※プラン、時期によって変動
住所 鹿児島県指宿市湯の浜2丁目12-7
電話 0993-22-2241
公式サイトを見る

この記事に登場する山

鹿児島県 / 九州南部

開聞岳 標高 924m

 揖宿郡開聞町(いぶすきぐんかいもんちょう 現・指宿市)にある薩摩半島で最も高い山。半島南端にそびえ立つ三角錐の美しい山容から「薩摩富士」の名を持つ。錦江湾の入口、海門にあることから、いつしか「かいもんだけ」と呼ばれるようになった。  二重火山で、標高700m上部はトロイデ型をなす。山麓から眺めると途中でわずかにくびれ、照葉樹の背丈も上部は急に小さくなり、後世にできたことが分かる。登ってみると中腹までは火山礫、上部は堅固な安山岩からなっている。頂上には噴火口はなく、浅い窪地が見られる。  海に面した西側は荒波に洗われ、断崖絶壁。陸側の裾野は長く、春は菜の花が咲き乱れ、秋はハゼが見事に紅葉する。ふもとから2合目にかけて「亜熱帯大自然公園」があり、世界各地のサボテンが見られる。  登山道入口近くに天ノ岩屋がある。途中7合目辺りまでは樹木も大きく、緑が濃い。  登山道は、山麓の開聞駅から山体を一周して山頂に至る。山頂の露岩上からの展望は雄大である。山頂には浅い窪地があり、大石の間には枚聞神社(ひらきじんじゃ)が祭られている。昔は開聞岳を「ひらき岳」ともいったという。登山口から山頂まで約2時間。

プロフィール

月山もも

山と温泉を愛する女一人旅ブロガー。山麓の温泉宿を一人で巡るうちに「歩いてしか行けない温泉宿」に憧れを抱き、2011年から登山を始める。ゆるハイクから雪山登山まで、テントも一人で担ぐ単独登山女子。 ブログ「山と温泉のきろく」https://www.yamaonsen.com/に、温泉と登山のすばらしさについて綴っている。山と温泉に魅せられる人を増やすことが、人生のよろこび。著書に『ひとり酒、ひとり温泉、ひとり山』(KADOKAWA)。

ひとり温泉登山

山と温泉を愛する月山ももさんによる月1連載。登山前後に入りたい極上の温泉宿をご紹介します。

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