春の大型連休中、もしもの時のための装備を携行して万全な準備を 島崎三歩の「山岳通信」 第339号

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長野県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。第339号では、北アルプス奥穂高岳周辺で起きた遭難を例に出して、標高の高い山では冬山装備が必要で、「もしもの時のための装備」も携行することを促している。


5月2日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第339号では、期間中に起きた8件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 4月27日、北アルプスの奥穂高岳で、単独で入山した50歳の男性が西穂高岳から奥穂高岳に登山中、装備不足で行動不能となった。

  • 4月28日、北アルプスの常念岳で、3人パーティで入山した61歳の女性が、常念岳乗越から下山中に階段の段差で膝をねじり負傷した。

  • 4月28日、北アルプスの針ノ木岳で、2人パーティで入山した51歳の男性が、マヤクボ沢付近をスキーで滑走中に転倒、負傷した。

  • 4月28日、八ヶ岳連峰の蓼科山で、単独で入山した51歳の男性が、蓼科山頂付近を登山中に岩に飛び移った際に右足を負傷し、行動不能となった。

  • 4月28日、八ヶ岳連峰の美濃戸中山で、6人パーティで入山した80歳の男性と79歳の女性が、八ヶ岳美濃戸口から入山して他のメンバーと別れて南沢を下山中、日没で道に迷い行動不能となった。

  • 4月29日、八ヶ岳連峰の硫黄岳で、単独で入山した79歳の男性が、登山中に発病のため行動不能になり、のちに死亡が確認された。

  • 4月29日、長野市鬼無里の山林内で、山菜取りのため2人パーティで入山した77歳の男性が、バランスを崩して転倒、負傷した。

  • 4月29日、小谷村千国の山林内で、山菜取りのため5人パーティで入山した83歳の女性が、道に迷い行動不能となった。

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

4月22日の週は、長野県内で8件の山岳遭難が発生しました。

春の大型連休が始まりました。北アルプス奥穂高岳周辺では、装備不足によって行動不能となる遭難や、八ヶ岳連峰では下山中に日没を迎え、道に迷って行動不能となる遭難が発生しています。
長野県は例年に比べ、気温が高く降雨の影響もあり、融雪が進んでいますが、それでも標高の高い山域ではまだまだ残雪が多いところがあります。アイゼンやピッケルなどの冬山装備が必要なほか、ヘッドランプを携行するなど「もしものときのための装備」の準備もぬかりなく!

また、この時期は、雪融けと凍結を繰り返し、時間帯によっては雪質が刻々と変化するため、アイゼンやピッケルを確実に使いこなす技術が必要です。雪上で滑落してスピードが出てしまうと救助隊員でも止めることはできません。歩行中にバランスを崩したり、スリップしたりしないよう慎重な行動をお願いします。

連休後半も、例年に比べ、気温の高い日が予想されています。疲労の軽減や熱中症対策のためにも、適度な休憩と、水分とカロリーを積極的に補給しましょう。

 

登山相談所開設情報

長野県および長野県山岳遭難防止対策協会(県遭対協)では、登山者の皆さまに対して、万全な準備とともに、気象条件や自分の力量などを見極め、慎重な行動をとるように呼びかけています。

季節の広報・啓発活動の一環として、別紙主要登山口において「登山相談所」を開設します。遭難箇所を明記したマップなどにより、リスクをリアルに情報提供するとともに、積極的な声かけを行っています。

開設山域・場所については、長野県のWebサイトをご確認ください。また、長野県の主要な山の春山における注意点をまとめた「春山 山岳情報」も、同ウェブサイト上で配布しています(PDF)。安全登山のための情報を、ぜひご活用ください。

 

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

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島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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