南八甲田にもクマのリスク。北八甲田からの安易な転進に注意

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クマ事故により八甲田山の北八甲田エリアが入山禁止となっているが、地元では南八甲田エリアのリスクが指摘され、当面の間、駒ヶ峯分岐から櫛ヶ峰(上岳)にかけての登山道を通行しないよう呼びかけている。南八甲田はクマの生息域であり、ササ刈りなどの登山道整備が充分でないため、クマとの遭遇や道迷いの危険が高い。北エリアが登れないからと、安易に転進するのは危険だ。

櫛ヶ峰(写真=たがよっちゃん

ロープウェイが整備され、最高峰の大岳(1585m)などを擁する北八甲田エリアに比べて、南八甲田はもともと入山者が少なく、登山道の整備状況も北ほど行き届いていない山域だ。特に奥地は山中泊を伴う作業が必要となるが、クマ警報が発表されている状況下での作業実施は危険なため、刈り払いなどの整備作業が進められていないという。

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この記事に登場する山

青森県 / 奥羽山脈北部(八甲田山とその周辺)

八甲田山・大岳 標高 1,585m

 八甲田山の最高峰。一般的には、高田大岳と区別する意味から八甲田大岳とも呼ばれている。すりばち状の爆裂火口があり、山頂には宗教法人八甲山神社の、石で造られた祠がある。  八甲田山の中では最も人気が高い山で、登山客も圧倒的に多く、そのために高山植物が枯死し、さらに裸地面積が拡大するなど自然への悪影響が顕著に現れ、問題化している。  一帯は自然公園法に規定された国立公園の「特別保護地区」でありながら、そこを横断する北八甲田ロープウェイ建設計画が地元青森県で持ち上がったが、計画自体が無謀そのものであり、自然保護の理念とあまりにも背反することから1989年に計画中止となった経緯もある。  この山の人気が高まった原因は、昭和43年(1968)の八甲田ロープウェイ開設にある。これによって田茂萢岳山頂までゴンドラで運ばれた登山者は、ごく簡単に、楽しみながら大岳に登れるようになった。  赤倉岳、井戸岳を経由するコースと、上毛無岱の高層湿原を通ってゆくコースがある。途中の井戸岳の鞍部には大岳ヒュッテがあり、2時間弱で山頂に着く。  下山路は往路を引き返すものと、ほかに酸ヶ湯温泉に下る2つのコースがある。1つは仙人岱を通るコースで、もう1つは上毛無岱から下毛無岱を経て下るコースである。この逆コースで大岳に登る場合、ともに山頂まで2時間弱。  一般的には酸ヶ湯温泉を起点に仙人岱コースを登り、距離の長い毛無岱コースを下山路として使っているようだ。樹林帯に囲まれた仙人岱にはヒュッテがあり、この仙人岱から小岳を経て高田大岳に至る縦走路が分かれている。  また八甲田大岳登山の起点となる酸カ湯温泉は昔からの湯治場だが、1954年に国民温泉に指定され、男女混浴が今も続いている。訪れる登山者やスキーヤー、観光客も多い。  八甲田大岳は全体的に迫力に欠けるが、こぢんまりとして初心者には絶好の山である。湿原、お花畑、雪渓、どれをとっても規模は小さいながら変化に富む。山頂からの展望もよく、南八甲田の峰々や横沼はもちろん、青森湾や青森空港の滑走路も見渡せる。  道標も完備し、迷うこともない。ただし冬の気象条件は厳しく、遭難事故なども発生しているので、充分な注意が必要だ。

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