GPSメーカー・ガーミンが誇る高精度のナビゲーション機能 アウトドアウォッチfēnix 7X Pro 安全に登山を楽しもう!

文=吉澤英晃、写真=加戸昭太郎、デザイン=熊谷篤史
協力=ガーミンジャパン[PR] 2024.06.28

GPS機器のパイオニアメーカーとして、確固たる地位を築くガーミン。同社のフラッグシップモデルであるマルチスポーツGPSウォッチ「fēnix 7 Pro」シリーズが、2023年6月の発売以降、人気を博しているという。今回はそのシリーズのなかから、「fēnix 7X Pro」を使用した。搭載する多様な機能は、実際の登山シーンでどのように役立つのか。中級山岳で試してみた。

テストを行なったのは

吉澤英晃

山岳ライター

吉澤英晃

よしざわ・ひであき

『山と溪谷』『山と溪谷オンライン』をはじめ、さまざまな登山専門メディアで活動する山岳ライター。2022年にfēnix 6Xをプラベートの山行に導入してから、一年中さまざまな山岳環境で実用性の高さを感じている。

いまfēnix 7X Proを選ぶ理由

GARMIN
fēnix 7X Pro

高機能なスマートフォンが普及したことで、GPS機能は驚くほど身近になった。日常的にGPSが手中にあるいま、個別にGPSデバイスの購入を検討する人は少ないかもしれない。しかし2年前、私は知人のすすめで当時発売されていたfēnixシリーズの「fēnix 6X」を手に入れた。当時でも価格は約10万円。無論、気軽に手を出せる金額ではない。それでも、数日間悩んだ末に購入を決めた。私がfēnixシリーズを選んだ理由であるシリーズ共通の基本性能について、まずは紹介したい。

そもそも、地形図のデータを搭載するGPSデバイスは道迷いの防止に非常に有効だ。雪山で周囲の視界が完全に失われるホワイトアウトに陥ったとき、GPSデバイスのおかげで助かったという話は何度も聞いたことがある。もちろん、スマートフォンの地図アプリも便利ではあるが、まぶたも凍る氷点下ではスマホのバッテリーがもたず、数分も待たずして電源が落ちることも知られている。

その点、fēnixシリーズは国土地理院が発行する地形図のデータを標準で搭載。さらに耐久性は、米国国防総省が定めるミリタリースペック(MIL-STD-810)に準拠する「衝撃落下」「高温/冷凍」「防水」「腐食」のテストをすべてクリアし、−20℃でも不具合なく作動する。

地形図の縮尺は800kmから5mまで変更可能。現在地はくさび形のマークで表示され、マークの先端が進行方向も指し示す。歩いたルートは濃い実線で記録される
防水性能は10気圧防水。当然、水中に沈めても問題ない

その上で、さらに魅力的なのが稼働時間の長さである。旧モデルに当たる私のfēnix 6Xでも最長で21日間もバッテリーがもつのに、最新のfēnix 7X Proではこの性能が一段と向上。「スマートウォッチモード」では、ソーラー充電分を含めて約37日間、「GPSモード」では、ソーラー充電分含めて約122時間を実現。ソーラー充電の条件を満たす環境なら、約100時間分の山行に対応すると考えて差し支えない。

バッテリーの残量を表示させたウォッチフェイスの一例。頻繁な充電が必要なく、使い勝手が抜群にいい

これらの基本性能に惹かれて購入し、思い描いた通りの実用性の高さを実感している。例えば白毛門から巻機山をつなぐ上越国境稜線を縦走した際、押し潰されるような暴風雪でホワイトアウトに見舞われたとき、氷点下でも手元で正確に現在地を示すGPS機能のおかげで無事に下山することができた。世界文化遺産に登録された熊野古道のひとつ、大峯奥駈道を4泊5日で縦走したときにも、GPSを起動させたまま一度も充電せずに全行程のトラックログを記録できた。

そして現在リリースされているのが、さらに進化したfēnix 7X Proである。

道迷いを防ぐためにスマートフォンなどの地図アプリを使用している人は多いだろう。しかし、地形図上で現在地を把握できるGPS機能に加えて、ミリタリースペックの耐久性と、アップデートされた圧倒的な稼働時間は、GPSを搭載するスマートフォンや同様の機能をもつウェアラブルデバイスであってもいまだに到達し得ない、fēnix 7X Proがもつ高い優位性といえるはずだ。

道迷いを防ぎ先々の行動を読める高精度なナビゲーション機能

では、fēnix 7X Proは実際の山行でどのように活躍するのか。今回はその実用性を無雪期の山であらためて確かめてきた。

まず、fēnix 7X Proには「心拍数」や「高度」など行動中に役立つ情報をまとめて表示する「登山」というスポーツアクティビティが用意されている。これを選択するとGPSが起動し、もう一度スタートボタンを押すとトラックログの記録がスタートする。

ちなみに、fēnix 7X Proはタッチスクリーンを搭載し、両サイドのボタンで表示を切り替えることも可能。操作性はかなり高い。

手袋をした状態でもストレスなく操作でき、雪山でも扱いやすい

さらに今回は、普段使ったことのないナビゲーション機能を試してみた。事前にインストールしておいたコースのgpxデータを選択し、ナビゲーションを開始。さっそく山頂をめざすことにする。

木陰が涼しい林間の登山道を小沢に沿って歩いていると、手元のfēnix 7X Proがブブブっと振動。文字盤を見ると、この先で登山道が大きく左に曲がっている。進路が変わること知らせてくれたのだ。さらに進み、登山道が二手に分かれる地点では、意図的に誤った方向へ歩いてみた。すると、80mほど正規ルートから離れたところで、またしもブブブっと振動。今度はコースから逸脱したことを教えてくれた。これなら道に迷う心配がほとんどない。

GPSデータをやり取りするためのデータフォーマットのこと。ガーミンの専用サイトで作成できるほか、インターネット上の山行記録投稿サイトなどからも取得できる。

ナビゲーション機能を起動させると、地形図上にコースが太線で表示される

さらに今回のテストでは違う機能も好印象だった。

それは、山頂へ間近に迫る急坂を登っていたときのことである。同行する山と溪谷社の編集部員が息を切らせながら「山頂まで、あとどれくらいですかね?」と尋ねてきた。そこで筆者はサッとfēnix 7X Proを確認。「あと標高で30mくらい登れば頂上ですよ」。

これはナビゲーションに加えられる「ClimbPro」という機能から得られた情報だ。ClimbPro機能をオンにすると、コース上の登り区間をfēnix 7X Proが自動で計算し、今歩いている登り区間の残りの距離と標高差などを表示してくれるのである。編集部員もその実用性の高さを身をもって感じ「あとどれくらいがんばればいいか、客観的にわかるのがいいですね」と興味津々の様子だった。

ClimbPro機能の表示画面。「0.27km」が残りの距離、「27」が残りの標高差を表している

そして、無事に山頂を踏み下山している最中、ここでは到着時刻の表示に感心した。

例えば、特に公共交通機関を利用したときなど、帰りのバスや電車の出発時刻に間に合うかどうか、何時ごろに下山できるか気になったことはないだろうか? そんなとき、ナビゲーション機能では定めておいたゴールへの到着時刻を確認でき「まだ余裕があるから、ゆっくり休憩してから行こう」などと、先々の行動を決めやすい。これはなかなか便利である。

ナビゲーション機能では到着時刻のほか、残りの距離も確認できる

多様な機能を備えつつ、操作は簡単。下に表示されている情報は全てスクロールするだけで確認できる

その後、計画の全行程を歩き終えて駐車場に到着。紹介してきた機能だけでなく、fēnix 7X Proには、ペース管理に役立つ「心拍数」や「昇降速度」、現在地の把握に欠かせない「高度」、天候の変化を読み解く「気圧」、「日の出日の入りの予定時刻」や「気温」を表示する機能なども、すべて標準で備わっている。

fēnix 7X Proがひとつあれば、アクティビティに役立つあらゆる情報を取得できるようになると言っても過言ではない。


客観的な山行データと便利機能で下山後も大活躍

Suicaのキャッシュレス決済機能は電車移動や買い物時に便利

fēnix 7X Proの活躍は山を下りてからも続く。ここからは記録した山行データの活用法と、スマートウォッチとして日常で役立つ機能を紹介しよう。

fēnix 7X Proで記録したトラックログの詳細は、専門アプリやwebサイトの「Garmin Connect」で確認できる。おもしろいのは、ここでは歩いた軌跡情報だけでなく、平均速度や消費カロリー、推定発汗量なども確認できる点だ。なかでも個人的に興味深かったのは推定発汗量で、普段あまり水分を摂らない筆者にとって客観的な数値はとても参考になり、今では過去の山行データを基に飲み水を多く持つようにしている。

取材で記録した実際の山行データ。左の列に消費カロリーや推定発汗量が表示されている

同様に、平均速度は行動予定、消費カロリーは食料計画を考えるときに役立ち、うまく活用することで次回からの山行計画をブラッシュアップできるのである。

また、fēnix 7X ProはマルチスポーツGPSウォッチという位置づけが示す通り、登山だけでなく、ランニング、サイクリング、水泳、釣りなど、100種類以上のアクティビティにも対応。スマートフォンとペアリングすることで着信やメール、LINEなどのメッセージの受信を知らせてくれるほか、Suica対応のキャッシュレス決済機能や、暗闇で活躍するフラッシュライトなども搭載している。

フラッシュライトは明るさを調整でき、赤色灯も選択可能。消灯後の山小屋や夜のテント泊でも重宝しそうだ

10万円を超えるfēnix 7X proが高価な機器であることに異論はない。ただ、経験上、その値段を凌駕するほど多くのメリットを得られるのもまた事実である。

現に、高度なGPS機能のおかげで予定したルートを外れることがほぼなくなり、道迷いによる遭難のリスクが大幅に減ったと感じている。また、あえてGPS機能をスマートフォンから切り離すことはリスク分散になり、通信手段としてスマートフォンのバッテリーを温存できる点も、万が一のときの安心感につながっている。

ベゼルやケースは高純度のチタン合金製。深みのある光沢とスタイリシュなデザインにも注目だ

そして、日常ではスマートウォッチとしてSuicaによるキャッシュレス決済やメッセージの受信確認のほか、ミュージックの保存再生や日々の健康管理なども行なえ、暮らしに役立つ便利機能は紹介し始めるときりがない。

fēnix 7X Proは使い込むほどコストパフォーマンスが高まり、さらに登山の安全性も高めてくれる、計り知れないポテンシャルを秘めるマルチスポーツGPSウォッチなのである。

通信衛星技術を使い、メッセージを送ることも可能

inReach製品のひとつ「inReach Messenger」。大きさは手のひらに収まるほどコンパクト

fēnix 7X ProはガーミンのinReach製品と連携することで、登山の安全性をさらに高めることが可能だ。inReachとは同社が開発した通信衛星技術であり、契約すると、世界中どこにいても他者と連絡を取り合えるようになる。さらに、緊急時に備え付けのSOSボタンを押すと24時間体制のGarmin応答センターにメッセージを送れ、救助要請まで行なえる。

fēnix 7X Proでプリセット送信を選択
定型文から「マイトリップを開始します」を送信
メッセージを受け取った相手からの返信も表示される

事前に設定されている定型文であればfēnix 7X Proから送信でき、専用のスマートフォンアプリ「Garmin Messenger」を使うと、通信圏外であってもスマートフォンから通信衛星を介してより細かなメッセージを送ることができる。連絡手段が確保されていると、登山者だけでなく帰りを待つ人の安心感も向上する。

製品情報

fēnix 7X Pro

価格
13万7500円(税込)
サイズ
φ51×14.9mm
重量
89g

inReach Messenger

価格
4万2900円(税込)
サイズ
7.8×6.4×2.3cm
重量
113.9g

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