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蒸し虫の想い出の位山

位山( 東海・北陸・近畿)

パーティ: 3人 (Yamakaeru さん 、ほか2名)

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行程・コース

天候

曇り

登山口へのアクセス

マイカー
その他: カーナビには「道の駅モンデウス飛騨位山」をセット。1,700台も駐車可能な大きな駐車場がある。トイレも完備。登山口は歩いて数分。

この登山記録の行程

道の駅モンデウス飛騨位山(07:51)・・・登山口(07:55)・・・<ミスルート>・・・第1クワッドリフト降り場(08:52)・・・天ノ岩戸(09:55)・・・位山・山頂(10:24)・・・天の泉(10:33)・・・位山・山頂・・・白山が見える原っぱ(10:48)(昼食~11:32)・・・天ノ岩戸・・・第1クワッドリフト降り場(12:46)・・・登山口(13:12)・・・道の駅モンデウス飛騨位山(13:16)

コース

総距離
約10.6km
累積標高差
上り約746m
下り約746m

高低図

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登山記録

行動記録・感想・メモ

甥っ子の結婚式に出るために帰省したついでに地元の山仲間と山登りへ出かけた。
ほとんど眠らずの状態で結婚式に参列し、帰宅後3時間だけ仮眠をとって山へと出掛けていく。。。我ながらタフだ。というより家族からすれば「家事もしろよ!」と突っ込みが入るダメダメ山野郎ともいえる。
目指すは「位山」。
いつかは登りたいと思っていたが、中途半端に遠い上に立地的にそこまで行くならそのままアルプスへ行った方が良いとなかなか実現しなかった。
とはいえ、位山(標高1,529m)そのものは日本二百名山の一つに数えられる立派な山で、飛騨北部と南部の境界上にある宮川と飛騨川の分水嶺にもなっている。
位山は、岐阜県の県木である「イチイ」の木の産地としても有名で、イチイの木から造った笏(しゃく)を天智天応に献上した際に、一位の官位を賜ったことから「木はイチイ、 山は位山」と呼ばれるようになったと言われている。しかし、名前の由来にはもう一つ有力候補があり、最近流行りのアニメ「呪術廻戦」で知られるようになった「両面宿儺」がその由来に大きく関係しているという。両面宿儺という名前を聞くだけでワクワクして、断然こちらの方が個人的にも興味深い。なんでも神武天皇が飛騨の位山に登った際に、両面宿儺があらわれて、神武天皇に王位を授けたことから「位山」と呼ぶようになったとのこと。さすが霊山としても有名な山だけあって伝説の規模が大きい。
ちなみに、両面宿儺は5世紀に実在した人物で、正史ではヤマト王権に従わず滅ぼされた悪役とされているが、地元の飛騨ではむしろ武勇に優れた神祭の司祭者で農耕の指導者としても慕われていた人物とのこと。アニメと違うギャップに萌えるというか。赤穂浪士に殺害された吉良も実は名君だったという、見る人によって人物像が変わる歴史の面白さ。そんな事を考えながら登ると位山にもどんどん興味が湧いてくる。
と、張り切りながら登山に挑んだが、結果、違った意味で記憶に残る山となった。
そもそも今回の帰省は結婚式への参列が目的だったため、持ち帰ったのは礼服のみ。仕方なく、家にあった古いザックと最低限の装備をかき集めたが、タイツもなく剥き出しの両足に、レインウェアもないと実に心もとない状態で登山へ挑んだ。普段であればそんな装備では決して山へは登らないが、「まぁ低い山なので何とかなるだろう」と甘く見たのが間違いだった。
天気予報では、早朝の雨から回復傾向にあるとのことだったが、雨が止む気配はなく向かう道中はハラハラのし通しだった。
同行した仲間の日頃の行いが相当良かったのだと思う。出発点となる道の駅「モンデウス飛騨位山」に到着する頃はなんとか雨も上がった。
車を出ると全身を包むムンッとした高密度の湿気。吹き出る汗に思わず登山を止めて温泉へ直行したくなった。
道の駅に隣接するようにスキー場「モンデウス飛騨位山スノーパーク」があり、道の駅の裏側には緑に包まれたその大きなゲレンデが視界いっぱいに広がっていた。
位山へはそのゲレンデの右側にある登山口からアプローチして直登をしていく。500メートルほど登ったところだろうか、T字路の分岐にたどり着いた。
実はここで、今回のタイトルの元となる最大のミスジャッジを犯してしまう。
本来、右に折れてゲレンデ右端まで進んだのち、ゲレンデトップに向かう道に沿って登らなければならないところを、看板を見誤ってしまい左に折れてしまった。
それでも強引にゲレンデを直登してしまえばよかったが、辺田に気が付いてしまい、正しいルートに復帰しようと考えたのが痛恨のミスだった。魔が悪いことに復帰できそうな踏み跡が目の前にあったのもいけなかった。
まさに悪魔的なトラップで、明瞭だったのは僅か50メートル程度。徐々に身長にも届く藪に囲まれ、仕舞いには完全に道を見失ってしまった。しかも、藪の中にはイバラがあり、歩くたびに棘がよりむき出しの足に突き刺さり鋭い痛みが走った。
踏み込んでしまった以上、弱音は吐けなかったので、方角を決めて比較的藪が薄いところを狙いながら強引にかき分けて進む。
格闘すること20分。藪の隙間から薄っすらと登山道が見えた時には本当にホッとした。
最後の藪をかき分けてなだれ込むように登山道へ復帰。
安堵した瞬間、足に妙な違和感を覚えた。
藪とイバラで血まみれになっていたのは知っていたが、その地に呼び寄せられたのか、知らない間に虫に襲われたようで、無数の傷跡に恐ろしく両足が腫れ上がっていた。見た感じ、20箇所以上の刺し傷があり、おそらく傷跡の形状から、アブの類だと思われた。
心情涙目状態で、すぐにでも登山放棄したくなったが、幸い、先輩が「EX」マークがついた高価な虫刺されの薬を持っていたので、腫れ上がった足全体にくまなく塗り込むことで応急処置を施すことがきでいた。また、さらに寄ってくるアブを避けるため、もう1人の仲間がハッカオイルのスプレーを吹きかけてくれたので、爽やかな香りで折れかけていた心もなんとか立ち直ることが出来た。
ゲレンデのトップまで進み小休止を入れる。その先は、森ゾーンとなり本格的な登山に突入していく。
全体的によく整備された登山道で、急登箇所はなく、緩やかな森の中を進んでいくようなコース。しかし、遊歩道のような登山道も、雨上がりのぬかるみで、気がつくと靴がグチャグチャと泥だらけになっていた。またもやテンションが下がる。
楽しみにしていた「天ノ岩戸」に到着。
大きな岩がゴロゴロしていて、その岩を土台に何本もの樹が立ち上がっていた。まるでジブリの映画に出てきそうな世界観だった。
その中にひと際大きな岩が二つ、重なり合うように並んでいた。正面には祠が設置されていて、「天ノ岩戸」と書かれた看板が設置されている。「これが、天ノ岩戸か」。洞窟があると思っていたので想像とは少し違ったが、神聖な場所だけあって確かに神秘的なオーラを感じた。
天ノ岩戸まで来ると山頂まではもう一息。
森をぬうように歩いていくと、突然、視界が開けた場所に出た。ここが位山で1番眺望が良いとされる場所。天気が良い時には白山が望めるとの事だったが、今日はガスに覆われていてどこに見えるのかさえも分からなかった。
休憩を入れる前に、まずは山頂を踏んでおこうと先へ進む。
100メートルも歩かないうちに、頂と書かれた標識が目に入った。
頂と言っても普通の森の中。水平移動しただけだったので、「えっ、ここが?」と思わず声が出てしまった。ピークらしいピークもない。頂の区別がつかない山選手権では八幡平がダントツだと思うが、それに近い感覚だった。
折角なので、頂から300メートルほど下がったところにある「天の泉」まで足を伸ばしてみた。泉という名前から湧水を想像していたが、神社にあるような「手洗い水」のような水場があり、そこには立派な櫓が組まれていた。置かれていた杓子で神聖な御神の水を掬って頂くと、とても冷たくてまろやかな味がした。
白山が見えるという展望の場所まで戻り、切り株を椅子にしてランチタイムをとった。気持ちガスが薄れたのか見晴らしが良くなっていたが、相変わらず白山は見えなかった。
当初の計画では、位山に隣接する三百名山の一つ「川上山(かおれやま)」まで縦走しようと考えていたが、虫刺されと泥まみれのぐちゃぐちゃになった靴を前に、既に戦意喪失していたので、出発が遅かったことを理由(言い訳)に今回は諦めることにした。
ピストンと決めたとあらば、あとは滑って転ばないように気をつけて速攻で降るだけ。頭の中は温泉で一杯だったので一刻も早く降りたかった。
振り返ってみても、不快不快の連続で、辛く修行のような登山だったが、久しぶりに仲間と登れたことは幸せだった。いつか改めて、川上山への縦走も含めてリベンジに来たいものだ。

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装備・携行品

みんなのコメント

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  • きりんもいたぞー

  • た、たしかに。
    麒麟の木。

登った山

位山

位山

1,529m

よく似たコース

位山 岐阜県

位山三山の中心、天孫降臨伝説の霊山・位山往復 日帰り

最適日数
日帰り
コースタイプ
往復
歩行時間
3時間55分
難易度
★★
コース定数
17
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