沼沢湖の大自然を満喫 自然体感イベント

イベント開始と同時に、参加者が集まりました
当日は絶好のアウトドア日和
イベントを締めくくった「地元の木材を使った手作りワークショップ」

2023年8月26日(土)と27日(日)に、「沼沢湖の大自然を満喫 自然体感イベント」が開催されました。

イベントの舞台となった沼沢湖は、約5400年前の沼沢火山の噴火の際の火口に水が溜まってできたカルデラ湖です。面積約3.1km、水深約96mの湖には、福島県内で唯一ヒメマスが生息しています。四方をブナやミズナラの森に囲まれており、四季折々の美しい景色を見せてくれます。大蛇が潜むという伝説が残る、神秘の湖です。

「越後三山只見国定公園 満喫プロジェクト2023」のイベントのひとつ、「沼沢湖の大自然を満喫 自然体感イベント」では、「沼沢湖SUP体験」「湖畔の遊歩道ウォーキング」「湖畔でヨガ体験」など、沼沢湖の自然を感じられるさまざまなプログラムを実施。また、タレントで福島環境・未来アンバサダー(環境省)のなすびさんがスペシャルゲストとして登場し、自然体感イベントを盛りあげました。

晴天に恵まれた2日間、奥会津の大自然を満喫できました。イベントの様子をレポートします。

沼沢湖SUP体験

まずはメガSUPでSUPの基本を学びます
慣れてきて思い思いにSUPを楽しむ参加者のみなさん
スペシャルゲストのなすびさん、風に煽られて落水!
水鉄砲で水を掛け合います
SUPを終えて、はいチーズ!

近年、アウトドアアクティビティとして人気が上昇しているSUP(スタンド アップ パドルボート)。ボートの上に乗り、パドルを漕いで水面を進んでいくこのスポーツは、沼沢湖のように流れがなく、波が少ない環境で楽しむのに適しています。

SUP体験をガイドしてくれるのは、地元で水上アクティビティを指導している奥会津カヌー倶楽部。同倶楽部に所属する菅野幸吉ガイドは、パドルの持ち方を説明した後、参加者を引き連れて大人数で乗れるメガSUPに乗り込みます。パドルの沈め方、右や左に行きたい場合など、実際に湖上で漕ぎ方を学びます。

10分ほどでメガSUPとはお別れして、いよいよ一人用SUPに挑戦です。参加者は膝立ちの状態から、立ち姿勢になるまで苦戦している様子。「重心を意識して」という菅野ガイドのアドバイスもあり、次々とボードの上に立つ参加者。小さな達成感に笑みがこぼれます。自由行動になってからは、遠くに船出する人、ボードの上でくつろぐ人、あえて水に飛び込んでみる人など、多種多様な楽しみ方をしていました。

第2回の部では、なすびさんもSUPに挑戦。メガSUPで漕ぎ方をレクチャーされた後、個人用SUPに乗り込みます。「座ってなら大丈夫だな」「もうこのまま(座った状態)でいいんじゃない?」と言っていましたが、菅野ガイドにせっつかれて立ち上がることを決意。みごと立ち上がり、意気揚々と漕ぎ出しますが・・・数分後にあえなく落水しました。

「実はSUP自体は3回目なんですよ。だから大丈夫だろうと少し油断していましたね」。なすびさんは、水で張りついた髪をかき上げながら苦笑い。最後は参加者に水鉄砲が支給され、お互いに水を掛け合っていました。

参加者からは、「楽しかったです。こういう機会がないと始められなかったので、体験できてよかったです」「湖面に寝転ぶという貴重な体験ができました」など、満足した様子でした。

湖畔で楽しむアウトドアワークショップ

まずはファイアスターターで火種に着火します
アウトドアコーディネーターの小雀陣二さん
炭の正しい配置の仕方をレクチャーしてもらいます
焚き火の燻煙の香り漂うチキン、トマトと鶏ガラのスープ、甘さたっぷりの赤カボチャなど、豪勢なディナーが完成しました
細引きでもやい結びに挑戦!

数々のアウトドア雑誌やイベントで活躍するアウトドアコーディネーターの小雀陣二さんによるワークショップが開催されました。

まずは火起こしから調理の段取りまでをレクチャー。ファイアスターターで火を起こして、薪をくべていきます。細い木の枝からだんだんと薪を大きくしていき、火力を上げていきます。火を大きくする間にも、米を蒸れなく炊く方法や炭の有効な活用方法などを教わります。

火の起こし方を学んだ後は、いよいよアウトドア料理の実践編。地元産の会津地鶏や赤カボチャが、焚き火によって調理されていきます。燻製肉とハーブのいい匂いにつられて、キャンプ場のお客さんも近寄ってきました。「アウトドア料理は見た目でおいしく見せることが大事です」と語る小雀さんは、盛り付け方や食器選びにもこだわりを見せていました。

完成した料理を試食した女性スタッフは、「こんなにおいしいなら、焚き火で料理してみたくなっちゃいますね」と顔を綻ばせていました。

また、災害時やアウトドアで基礎テクニックを教わるアウトドアワークショップも開かれました。簡単かつほどけにくい「もやい結び」や「自在結び」などの結び方を教えてもらった後、実際にテント用の細引きを使って挑戦する参加者たち。参加した親子はどちらが早く結べるか競い合っていました。

なすびさんと焚き火トーク

地元金山産の天然炭酸水を「おいしい」と絶賛
なすびさんと小雀さんが想い出話に花を咲かせます
夜が更けてきても、2人の話は尽きることがありません

26日の夜には、なすびさんと小雀さんによるトークイベントが行なわれました。焚き火の揺めきを眺めながら、過去のアウトドア遍歴やこれまで見てきた絶景を振り返ります。なすびさんは、2016年に4度目の挑戦で登頂を果たしたエベレストでの光景について「ベースキャンプから見上げる星空は圧巻でしたね」と語りました。

飲み水として用意されていた地元・金山町産の天然炭酸水に「うまい」となすびさんが舌鼓を打つと、そこから話は越後三山只見国定公園の話へ。2021年10月に只見町を含む福島県地域が越後三山国定公園に編入。小雀さんは公園内の名所でもある只見川に注目し、「非常に流れが緩やかで川から見える景色も里山景観なので、カヌーで漕ぐととても楽しそうですね」と国定公園の魅力を語っていました。

参加者からの質問コーナーもあり、アウトドアと奥会津について語り尽くしたなすびさんと小雀さん。最後は参加者にマシュマロが配られ、焚き火で焼きマシュマロを堪能してトークショーは終了となりました。

湖畔でヨガ体験

澄んだ空気のなか、ヨガで体と心をほぐします
沼沢湖をバックに、仙波さんがお手本を見せてくれます
最後はガルドのポーズで!

27日の朝、福島県在住のヨガインストラクター・仙波修子さんによるヨガ体験が沼沢湖畔で催されました。

「沼沢湖の空気のよさを存分に体感しましょう」と語り、10分ほどかけてゆっくりと呼吸の仕方をレクチャーしていました。「ヨガは無理したり、誰かと競ったりするものではありません。自然体のママでいましょう」という仙波さんの言葉通り、参加者はリラックスした様子でヨガを体験していきます。最後はしかばねのポーズ(シャバーサナ)で終了。仙波さんは「すばらしい1日がありますように」と心地よい解放感に包まれた参加者に言葉を送っていました。

参加した女性は「神秘の湖と呼ばれるこの場所で、ヨガを体験できてよかったです」と語りました。

湖畔の遊歩道ウォーキング&サイクリング

沼沢湖の美景を眺めながらのサイクリング
心地よい風を感じられた行程でした
ウォーキングの様子。みなさん沼沢湖の透明度に感動しています
「なすびとカボチャの共演だ」とカボチャ畑で自撮りするなすびさん
ウォーキングの最後は、大蛇伝説が伝えられる沼御前神社でお参り

沼沢湖畔には、サイクリングやウォーキング用に整備されたルートがあります。

金山町では、町内6箇所にレンタサイクル場があり、只見川沿いなどにサイクリングコースが整備されています。そのうちの一つを巡るのが今回の沼沢湖畔サイクリングです。金山町役場の菅家武弘さんが沼沢湖ができた成り立ちや沼沢湖周辺に住まう動植物たちの話をしながら先導し、湖畔の北側を自転車で走ります。湖畔の涼しい風を感じられるコースに、参加者も心地よさを感じている様子でした。

また、沼沢湖の湖畔沿いにある遊歩道をたどるウォーキングイベントも開催されました。金山町役場の五ノ井さんが湖畔の風景や歴史についてガイドしてくれます。沼沢湖の南側にあるヒメマスの遡上ポイントや大蛇伝説が残る沼御前神社などを巡ります。途中にある地元名産の赤カボチャ畑では、なすびさんが「なすびとかぼちゃの共演だ」と言って参加者を笑わせていました。

参加者の女性は「ガイドさんがいないと聞けない話を聞きながら穴場スポットを巡れてよかったです」と笑顔を浮かべていました。

新聞紙レジ袋作り体験&山ブドウストラップ作り

新聞紙レジ袋作りでは、只見中学校の学生が作り方を教えてくれます
紙でできているとは思えない頑丈さです
山ブドウストラップ作りは、三島町生活工芸館のスタッフから作り方を学びます
自分だけのオリジナルストラップが完成!
使う木の種類によって強度やしなやかさが変わります

山や自然に触れる人間ならば、今ある自然を次世代に残したいと思うのは当然のことでしょう。今回の沼沢湖イベントでは、環境への配慮がなされたグッズ作りが行なわれていました。

只見町の只見中学校の学生が子どもたちに教えていたのは新聞紙でできた買い物袋の作り方です。新聞紙を折り畳み、糊付けして出来上がった袋は、広辞苑を入れても破けないそうです。レジ袋を完成させた7歳の少年は「(湖畔の)石を入れて帰る」と自慢げに袋を掲げていました。

隣のブースでは、三島町の生活工芸館による、山ブドウを素材にしたストラップ作りが行なわれていました。柔軟性に富み、丈夫な性質から山仕事で使用される道具を持ち運ぶ際の入れ物として使われていたそうです。古くは縄文時代から使われていたという編み組細工の技術を使って、かわいらしいストラップが出来上がります。世界でひとつだけのオリジナルストラップに、子どもたちは目を輝かせていました。

沼沢湖の色を表現しよう!クレヨン抽象画体験

クレヨンで色を落としていきます
沼沢湖と空の青さを表現していきます
コツをつかめば簡単に美しい絵画を描くことができます
絵が完成したら、フレーム選び。絵に合うカラーを自分で選べます
「夢中になれますね」と語った男性。思い思いに絵を描き上げました

色鉛筆画家・金山町地域おこし協力隊の大竹恵子さんがクレヨンを使った抽象画の描き方を教えてくれました。「うまく描こうとしなくていいです。感じるままに色を載せていってください」。大竹さんのアドバイスを元に、クレヨンの色をいくつも重ね、指で擦ったりつまようじで削ったりしてイメージを膨らませていきます。絵がまとまったら、ベビーパウダーをかけてティッシュで擦って色止めをします。最後に自分の絵に合うフレームを選んで完成。体験した参加者は「いい思い出になりました」とにこやかな笑顔を浮かべていました。

地元の木材を使った手作りワークショップ

「わからなかったら声をかけてください」と語る講師役の阪口さん
慣れないノコギリ、うまく使えるかな?
「こんなの使うのはじめて・・・」と口をそろえる参加者のみなさんでしたが、だんだんと電動工具の扱いに慣れていきました
いよいよ大詰め、椅子の最終形が見えてきました!
参加者全員無事に完成!

地元・金山町のスギ木材を使った椅子作り体験も開催されました。自宅もセルフビルドしたDIY(do it yourself)マニアであり、写真家の阪口克さんによるワークショップです。

用意された木材をノコギリで切るところから始まります。適切なサイズに切り終わったら次は電動工具(ジグソー、サンディングソーなど)を使用。普段使わない道具で慣れない作業に苦戦する参加者のみなさん。家族連れが多く集まった本プログラムでは、家族で助け合いながら椅子を作り上げていきます。約2時間でオリジナルチェアが完成!

「DIY自体、はじめての経験だった人がほとんどだと思います。『ああすればよかった』というポイントは必ずあると思います。何回か作っているとどんどん上達していくので、これを機会に続けていただけるとうれしいです」(坂口さん)

ほかにも多様なイベントが

キャンプなんでも相談所の様子
沼沢湖青空カフェ&ミニマルシェでは会津地鶏を使った料理などが売られていました
とても濃密で、盛り上がった2日間でした

参加型のイベントだけにとどまりません。キャンプなんでも相談所では、キャンプ経験豊富な山と溪谷社のスタッフがテント設営&撤収のコツやテント泊で役立つ装備などを解説していました。また、沼沢湖青空カフェ&ミニマルシェでは、地元産の会津地鶏を使用した焼きとりやからあげ棒が販売されていました。こういったふらりと立ち寄れるブースもあり、参加者はイベント会場の隅々まで楽しんでいる様子でした。

 

只見線と秋の絶景を満喫 自然体感ツアー

参加者みなさんで、はい、チーズ!

豊かな自然と美しい景色に囲まれた越後三山只見国定公園の奥会津エリア。そのすばらしい自然や文化に触れることができるのが「只見線と秋の絶景を満喫 自然体感ツアー」です。2023年9月9日(土)〜10日(日)の1泊2日でツアーは実施され、二日目にはなすびさんも参加。そんなツアーの様子をレポートします。

【1日目】
JR郡山駅→元祖輪箱飯 割烹・会津料理「田季野」(昼食)→柳津町 散策・福満虚空蔵菩薩 圓藏寺→道の駅 尾瀬街道みしま宿〜第一只見川橋梁見学→JR只見線乗車体験(会津川口駅〜只見駅)→宿泊(季の郷 湯ら里)

【2日目】
季の郷 湯ら里→縄より体験→三石神社→只見町 和風レストラン「まほろば」(昼食)→癒しの森 ガイドトレッキング→JR郡山駅解散

巨大な白い岩塊の上に立つ「福満虚空蔵菩薩 圓藏寺」

白い巨大な岩塊が独特の雰囲気を醸し出している圓藏寺
熱々の輪箱飯。素材を生かした優しい味が特徴
虚空蔵菩薩は丑寅の守り本尊で、この牛を撫でるとご利益があるという
大地震で被害を受けた圓藏寺を再建する際、赤牛の群れが現われ運搬を手伝ったという逸話から生まれた赤べこ
圓藏寺から望む柳津町の風景

ツアー初日。郡山駅を出発したツアーバスは、一路、奥会津へと向かいます。

途中、昼食に、会津を代表する郷土料理の元祖輪箱(わっぱ)飯を会津若松市の割烹・会津料理「田季野」で食しました。輪箱飯とは、檜枝岐(ひのえまた)村の伝統的な曲げわっぱに会津米など地元の食材を入れて蒸しあげたもの。まずは胃袋で会津の食文化を体験しました。

次の目的地は、奥会津への入り口。赤べこ発祥の地でもある柳津(やないづ)町にある、日本三大虚空蔵のひとつの福満虚空蔵菩薩 圓藏寺(ふくまんこくぞうぼさつえんぞうじ)。本堂は大きな岩塊の上に立ち、ご本尊は空海作と言われている虚空蔵菩薩。およそ1200年前から会津地方の人々の厚い信仰を集めてきました。

圓藏寺は、見上げるばかりの岩塊の上に立ち、急な石の階段を登る必要があるので、希望者のみ(ほかの参加者は柳津町観光)となりましたが、会津の歴史を感じさせる重厚な建築物と柳津の町を見下ろす、すばらしい景色を堪能することができました。

只見線の絶景ポイント「第一只見川橋梁」

第一只見川橋梁を走る列車を撮影する参加者
第一只見川橋梁は緑に囲まれた自然豊かな風景の中にある

次に向かったのは、三島町の道の駅・尾瀬街道みしま宿。ここから徒歩10分のところにあるのが只見線の撮影ポイントとして有名な「第一只見川橋梁ビューポイント」です。雄大な自然のなかに浮かんだアーチ状の鉄橋を走る只見線のビューポイントとして、高い人気があります。

ビューポイントは遊歩道沿いに山の下から、ポイントA・B・C・Dと、4ヶ所あります。多くのツアー参加者がBポイントに向かうなか、Mさんファミリーが選んだのはひとつ上のCポイント。より高い位置から見下ろせるので、景色の広がりが格段によく、まさに絶景。列車は、橋にさし掛かる前に汽笛を鳴らし、鉄橋の上ではゆっくり走り、撮影には好都合。参加者は奥会津ならではの景色を楽しみました。

「写真でしか見たことのなかった風景を実際に見ることができたので感動しました」(参加者・Mさん)

人気ローカル線の車窓を楽しむ「只見線乗車体験」

JR会津川口駅に停車中の只見線の列車
広くゆったりとした流れの只見川と急峻な山々が絶景を生み出す
車窓ガイドをしてくれた大越さん。プライベートでも車窓ガイドをしているという筋金入り
刈り取り前の稲穂が垂れた美しい田園風景に列車の影が映り込んでいる

一日目のハイライトは「只見線乗車体験」。JR只見線は、福島県の会津若松駅から新潟県の小出駅までを結ぶ全長約135㎞のローカル線です。周囲の山々の景色を映し出す穏やかな只見川、深く切り立った渓谷、日本の原風景を残した田園風景など、次々に車窓に広がるすばらしい景色は、日本のみならず外国の観光客からも高い人気を集めています。

この日乗車したのは、会津川口駅から只見駅までの約52分間。乗車中は、特別に金山町観光物産協会の車窓ガイド、大越さんがガイド用イヤホンを通して、列車内から見える景色を解説してくれました。

「奥会津の魅力は、景色がきれいなことと、自然豊かな場所でもあり、そこに人の営みがあるというところです。私は、只見線をきっかけに奥会津が好きになり、昨年移住しました。奥会津の魅力を少しでも知っていただきたく、乗っているだけでは気付かないようなところも、ご案内をしています」(大越さん)

大越さんのディープな解説は、ツアー参加者にも大好評。時にユーモアを交えたガイドを聞きながら、只見川沿いの絶景を大いに楽しみました。その後は只見町内にある宿泊施設「季の里 湯ら里」へ移動。充実した一日目のプログラムが終わりました。

「只見線が運転再開をしたので、見てみたいと思っていました。なかなか奥会津まで来る機会がなく、ツアーならば安心して行けると思い参加しました。天気がよく、想像以上に景色がきれいだったので感動しました」(参加者・Tさん)

奥会津の伝統文化に触れる「縄より体験」

縄のより方を講師の方が目の前で教えてくれます
わからない人には親切に指導してくれます
よった縄をボンドで板に接着して出来上がり
「コツを掴むまでは大変でした」となすびさん
講師を務めた「ぶないろくらぶ」の皆さんと記念撮影

ツアー二日目は、只見町の文化と自然に触れる体験がめじろ押し。特別ゲストのなすびさんも合流して「縄より体験」からスタートしました。

「縄より」は古くから奥会津地方に伝えられ、蓑(みの)やカゴなどを作って人々の暮らしを支えてきました。使うのは、広く自生しているヒロロ(ミヤマカンスゲ)と呼ばれている植物。これを乾燥させたもので縄をより、その縄を編んで生活必需品を作ります。今回は、ヒロロを使ったコースター作りにチャレンジしました。

講師は只見町の草木を原材料にした製品作りを行っている草木染め愛好会「ぶないろくらぶ」のみなさん。参加者は、縄よりが初めての人ばかりで「やり方を理解するのに時間がかかった」という人もいましたが、徐々に慣れていきました。

なすびさんは「母方の実家が会津なので、こういう手仕事を農家の方が農閑期にやっているというのは知っていましたが、やってみると大変だとわかりました。いい体験ができました」と、話していました。

慣れない作業に悪戦苦闘しながらも、全員無事に完成。縄よりを通して、奥会津の昔からの暮らしに触れることができました。

縁結びの神社として知られる三石神社の散策

只見案内人の渡部さんを先頭に、駐車場の鳥居から「三の岩」まで緩い坂を登ります
平安時代を起源とする、御神体の大きな岩塊を頭上に抱く「三石神社」
染み出た水を目に付けると病が治ると言われている「涙岩」
岩の穴に頭を入れると頭がよくなると言われている「一の岩」
岩には細かい穴が開いているが、こよりを通す穴はなかなか見つからない

ツアー一行が「縄より」体験を行なった只見振興センターからバスで向かったのが「三石(みついし)神社」。JR只見駅の裏、要害山の中腹にある大きな岩塊をご神体として祀られている神社で、三つある岩のうち「三の岩」の小さな穴に、五円玉を通したこよりを通して結びつけることができると良縁に結ばれると言われています。

ここをガイドしてくれたのが、ふるさと只見案内人の渡部カズコさん。薬草の芍薬を栽培しており、只見を「芍薬の里」にするのが夢だとか。

縁結びのパワースポット「三の岩」までは、緩い斜面を登り「涙岩」「一の岩」を通り約13分で到着。ツアー参加者は、渡部さんからこよりを受け取り、岩に通そうとしますが、こよりを通せる穴がなかなか見つかりません。しばらく悪戦苦闘するものの、誰も通すことができませんでした。ちなみに、通せなかった人でも、しめ縄に結びつけると同様のご縁があると言います。三石神社のパワーが、いい縁を運んで来てくれるに違いありません。

「只見は四季がはっきりしているので、生活にメリハリがあるところが好きです。新緑のブナ、残雪、桜の花が一度に見られる春がおすすめなので、春にまた来てください」(渡部カズコさん)

ブナの巨木に触れる「癒しの森トレッキング」

癒しの森のシンボル、大ブナの堂々とした姿
なすびさんを挟んで「森の分校ふざわ」の藤沼さん(左)とガイドの角田さん
癒しの森をサクサク歩いて進む角田さんグループ
藤沼さんグループは、森の中をっじっくりガイド
只見町と金山町のちょうど境にある交流広場で記念撮影

昼食に和風レストラン「まほろば」で、奥会津で採れたそば粉を使った手打ちそばを堪能したあと、ツアーのメインイベント「癒しの森ガイドトレッキング」へと向かいます。

癒しの森は、只見町と金山町の境界線にまたがるトレッキングコース。それほど奥に入らなくても手軽にブナの森を散策することができ、山歩き初心者でも安心して歩くことができます。

ガイドを勤めるのは廃校を利用した宿泊体験施設「森林の分校ふざわ」の支配人・藤沼さんと、ガイドの角田さん。サクサク歩きたい人は角田さん、のんびりガイドを聞きながら歩きたい人は藤沼さんと2グループに分かれて出発。アップダウンは比較的少なく非常に歩きやすいコースで、驚いたことに10分と歩かずにブナの木に遭遇。誰もが簡単に奥会津の豊かな自然を体感できます。

「癒しの森は、尾根の右側が只見町、左側が金山町で、ブナと杉で植生が全く異なり、ブナでも二次林が多いのが特徴です。只見町は早くからブナ林の保護に力を入れていたので、集落近くにもブナが残っています」(藤沼さん)

ツアーの参加者からも「ガイドさんが、色々と教えてくれたので、すごく勉強になりました。楽しかった」「普通の登山と違い、自然に触れるという感じで、よかったです」と好評でした。

* * *

「癒しの森とレッキング」をもって、今回のツアーの全日程が終了。

「福島の行ったことのない場所に行けたので、すごく面白かったです」(参加者・高橋さん)

ツアー参加者は、レアな体験ができて大満足。

福島県のなかでも俄然注目を集めている奥会津エリアを巡る今回のツアーは、普段はなかなか足を向けることのない奥会津を知ることができる、貴重な機会になりました。

お問合せ先

山と溪谷社 奥会津アウトドアキャンペーン2023 事務局
MAIL : ad_info@yamakei.co.jp

山と溪谷社 奥会津アウトドアキャンペーン2023 事務局
MAIL : ad_info@yamakei.co.jp

主催=福島県生活環境部自然保護課
企画・運営=山と溪谷社
旅行企画・実施=JR東日本びゅうツーリズム&セールス

主催=福島県生活環境部自然保護課
企画・運営=山と溪谷社
旅行企画・実施=JR東日本びゅうツーリズム&セールス

写真=山と溪谷オンライン