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無道二千m峰13/126/768

アカンダナ山( 北アルプス・御嶽山)

パーティ: 1人 (1357 さん )

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行程・コース

天候

晴れ

登山口へのアクセス

バス

この登山記録の行程

上高地(6:20)西穂山荘(10:20)割谷山(12:40)焼岳小屋(13:55)中尾峠(14:30)焼岳南峰(16:05)幕営2,350m(17:00/5:30)鞍部(1,895m/6:10)白谷山(8:00)鞍部(1,965m/8:35)アカンダナ山(9:40)安房峠(11:35)中ノ湯(1,315m/13:30)

コース

総距離
約20.4km
累積標高差
上り約2,136m
下り約2,327m

高低図

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登山記録

行動記録・感想・メモ

上高地は快晴で、前穂の吊尾根にはまだたっぷり雪が残っている。澄んだ空気に清々しい気分になるが、早朝の日陰は流石に寒い。梓川の左岸を歩いて田代橋を渡り、プラブーツに履き替えてスパッツを着け、足の感覚を確かめながら慎重に歩き始める。
 骨折後3か月を経過し、「積極的に使う様に」との医者の言葉に力を得てテント泊りの計画を立てたのだが、20kgの荷を背負って多少不安を覚えながらの出発である。
 「やはり!」と言うべきか、足が重い。玄文沢沿いに次第に傾斜を加えて登るとやがて一面の残雪となり、陽当りで2本目を立てる(1,900m、8:10)。ここから尾根へ急登して、さらに高度を稼ぐ。3本目は樹間から六百山と霞沢岳を正面に眺めて寛ぐ。
 西穂山荘手前(2,320m)に荷を置いて山荘まで登り、今夜のためのビールを買う。分岐点からは焼岳が正面に見え、割谷山から‘きぬがさの池’まで太い尾根が続いている。グリセードに格好の斜面が続くが、左足に自信が持てないので右足を主体に抑えて下り、池から少し登り返して程好い樹間を縫って順調に進む。
 雪質は様々で、陽当りの雪は締まって快適なのに対し、密な樹の下は締まりが悪く足が潜って苦労する。2,250mの瘤の北の肩で一本立てる(11:20~35)。上高地の赤い屋板が暖かく見え、梓川の川原の両岸が柔らかく萌黄色に包まれて見飽きない。
 瘤を越えて下の池へ下る。ここまでは幅の広い緩い尾根で道標も少なく視界が無いと苦労しそうだが、割谷山頂直下の急斜面が気分を引き立てる。頂上では展望を楽しんでゆっくり休む。笠ヶ岳が端正な姿で目を惹き、大木場ノ辻と錫杖岳が夏の暑く苦しい藪の登りを思い出させて懐かしい。槍の穂先が奥穂の左に黒く姿を現わしている。
 P2,229を越えると稜線の雪が少なくなり、途切れがちの雪の下に焼岳小屋への下降路を見失うが、薮をトラバースして下ると小屋の青い屋根が現われる。小屋番がスコップで除雪をしている。展望台には草原が広がり、中尾峠にも雪が残っておらず幕営も叶わない。
 体は相当疲れているが、日没まで時間があるのを頼りに焼岳に登る事に決め、一息入れる。焼岳の褐色の斜面をいくら見つめても登山道の在処は判らないが、2人、1人と頂上から降りて来る。
 踏跡とペンキに従って中腹まで登り、噴気口のあるガレ沢を横断して大きく左へ巻き、最後に雪渓を登って2,410mの肩に出る。雪渓は下部が急なのでピッケルが無いと苦しい。南峰が目の前に高く、南には中堀沢源頭の広大な雪面が開けている。
 肩は硫黄臭くて幕営する気がせず、南峰を目指す。火口湖が水を湛えて碧く、その直ぐ北側には噴火口が荒々しく口を開けて威嚇する。正面の溶岩の岩場は脆そうで登るのが憚られ、右に廻り込んで雪渓を詰め岩場を抜けて平坦な頂稜に出る。
 頂上付近に幕営も可能だが、風があるので2,350mまで下って雪渓横の草地にテントを張る。夕闇が迫る頃、カモシカが現われてこちらを凝視して動かない。

 夜半に月が出て明るいが、やがて静かになる。4時頃には空が白み始める。外は雲一つ無い好天で、朝食を済ませて迅速に出発する。今日のコースは道が無いので、雪の状態に依っては難儀する恐れもあるのだ。
 テントの外のコッヘルに極く薄い氷が張っていた通り、雪渓はよく締まって歩き易い。骨折した左足を庇っての変則的な歩き方で沢部に残った雪渓を拾って下ると、2,250mからはシラビソの急斜面となる。
 2,100mまで下って小丘を越え、1,879mの凹地の東側の鞍部へ下降する。笹が出ている部分もあるが、まだ大部分は雪の上を歩く。対岸の白谷山は立木が疎らで、登り出のありそうな雪の斜面がどんどん高くなる。「熊が活動を始めただろう」と笛を吹きながら歩くと、時々カモシカの足跡が目に付く。シラビソが生えた鞍部の雪原は白一色の世界とは趣を異にして、ほっと息を吐きたくなる様な優しい佇まいを見せる。
 快適な斜面が稜線まで伸びているが、この登りは急で朝の元気な気持ちとは裏腹に、なかなか高度を稼げずに難儀する。やっと稜線へ上がり、起伏の多いの雪の上を歩いて白谷山頂に着き、疎らな灌木と笹の上に腰を下ろすと地肌からの輻射熱を感じる。
 斜面の雪を拾って鞍部へ下る。P2,119の北斜面は樹林が濃く、右から廻り込んで2,090mまで登ってアカンダナ山の鞍部へ下る(2,070m)。独特の形を見せる山頂へ空身で向かうと、陽が高くなって雪が腐ってきている。山頂は数mの雪に覆われ、その下は密生した笹と思われる。
 鞍部に帰り、沢沿いに下って少し登り返し、陽に焼かれながら歩き難い落葉樹の中を標高2,000mを維持してトラバースして行くと、融けて半ば消え掛けた足跡を見付けて吃驚し、同好者の存在を知る。
 P2,019までは雪の上を思惑通りに歩くことが出来るが、安房峠へ通じる南斜面には雪は残っておらず、笹に掴まって急斜面を下り、幾つかの砂防堰堤を越えて峠の碑の横から舗装道路に下り立つ

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装備・携行品

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登った山

焼岳

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2,455m

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