北陸新幹線延伸記念! どう登る? 福井県のおすすめの山3選!

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2024年3月16日、北陸新幹線が金沢〜敦賀間が開業し、都市圏から福井県の山に登りやすくなった。ここでは福井県でぜひ登っておきたい山を3つ紹介しよう。

ガイド文・写真=森田伸人(日本山岳会福井支部)、トップ写真=PIXTA

福井県唯一の百名山、秀麗な山容の大野富士へ 荒島岳(あらしまだけ)

福井県/1523m

荒島岳山頂から眺める白山(はくさん)連峰
荒島岳山頂から眺める白山(はくさん)連峰

大野盆地からピラミッドのように見える山容から「大野富士(おおのふじ)」とも呼ばれる荒島岳。四方から登山道が拓けており、それぞれに違う表情を見せるが人気なのは勝原コースだ。このコースの魅力は見事なブナの原生林。さらに春から初夏にかけてはイワウチワなど花も多く咲くため新緑とともに楽しめる。シャクナゲ平を過ぎ、もちが壁から前荒島岳の急登を登りきると見晴らしのよい尾根歩きとなりやがて山頂に着く。荒島大権現を祀る祠がある頂上は三六〇度の展望が開けており、白山などの山々が望むことができる。また頂上周辺は高山植物が多く花咲き、夏にはハクサンフウロやシモツケソウ、クガイソウなど色とりどりのお花畑を楽しむこともできる。

イワウチワ
春から初夏にかけて見られるイワウチワ
小荒島岳から眺めた荒島岳
小荒島岳から眺めた荒島岳

Course Information

コースタイム

勝原スキー場駐車場〜登山口〜シャクナゲ平〜前荒島〜荒島岳〜前荒島岳〜シャクナゲ平〜登山口〜勝原スキー場駐車場/計5時間30分

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山行アドバイス

5月〜7月がコース全体を通して多くの花を楽しめる。もちが壁の岩場にはハシゴや階段が設置されているが、滑りやすいため特に下りは慎重に。小荒島岳は三六〇度の視界が開けており、荒島岳の山頂が間近に望めるのでぜひ立ち寄ってほしい(シャクナゲ平〜小荒島岳は片道20分)。

登山口情報

北陸新幹線福井駅下車、JR越美北線(えつみほくせん)に乗り換え、勝原駅下車(1時間20分、1030円)。本数が少ないので事前に時刻表を確認のこと。
下山後には大野市街のホテルや旅館に宿泊し、翌朝は七間朝市(しちけんあさいち)や大野城を散策するのがおすすめ。大野市は金森長近(かなもりながちか)が築いた城下町で碁盤目の市街が今も残り、北陸の小京都とも呼ばれている。町のはずれにある亀山には大野城(亀山城)があり、朝霧に浮かぶ姿が天空の城として有名だ。沢山の清水が湧き、イトヨの生息地でもある。七間通りでは400年の歴史ある朝市が春分の日から大晦日まで毎日開かれている。

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この記事に登場する山

福井県 / 越美・伊吹山地

荒島岳 標高 1,523m

 福井県大野市にある、深田久弥によって『日本百名山』に加えられた山体は、三方が切り立った斜面で、見上げる者に独立峰の印象を与える。古来、大野盆地の人々の尊敬を集めてきたのであろう。平安初期に書かれた延喜式に荒島神社の名があることからも、この山の存在の重さを想像できる。  山中のブナ林は、北面の勝原(かどはら)からの登山道周辺でも、下生えにオオバクロモジを配した巨木が立ち並ぶ多雪地帯の林相を示しているが、特に南東面が見事だ。また急峻な地勢は鬼谷や荒島谷川などいくつもの滝を形成し、中でも大垂(おおだる)滝は落差が60mあり、福井県下第一である。  冬期、荒島岳は大野盆地より吹き上げる季節風と、多量の降雪によって一変する。南面のナナザコ側では雪崩が多く起こり、ときには夏期に荒島谷川で残雪を見るほどである。  一等三角点(補点)の山頂からの展望は極めてよく、越前、美濃の山々はもちろん、遠く、槍・穂高連峰、乗鞍岳、御嶽山なども見える。  登山道は大野市勝原(かどはら)、中出(なかんで)、佐開(さびらき)から、いずれもシャクナゲ平で合流し、「もちがかべ」と呼ばれる急な登りを経て頂上に向かう。所要3時間30分。別に下山(しもやま)コースがあるが、難路だ。

福井県 /

一乗城山 標高 473m

福井市の東南に位置する山で、戦国大名の朝倉氏が築いた一乗谷城のあった山として知られる。 一乗谷城は1573年9月に織田信長と朝倉義景の間で行なわれた合戦で、周囲の市街と共に落城、400年近く放置されたが、現在は周囲は遺跡公園として整備されていて、往時の朝倉氏の勢力が伺うことができる。 往時の町並みが復元された遺跡公園周辺ののどかな風景は撮影などにも利用され、にぎわいを見せている。

福井県 / 敦賀半島

西方ヶ岳 標高 764m

 敦賀半島の中ほどにある。福井県の山としては珍しく、すべて花崗岩で構成されている。  登山口の、常緑樹木の暗い森のかたわらに建つ常宮神社には新羅渡来、太和7年銘の梵鐘(国宝指定)が残されており、日本海を挟んでの、古代の交通がしのばれる。  標高500m付近に立つオーム岩は、江戸時代「言葉石」と呼ばれ『東遊記』によれば小浜の殿様も遊覧に来るほどだったという。  海岸を背にしてすぐ登りとなる西方ヶ岳では、暖地性のものから頂上近くのブナ林まで、まるで垂直分布図を見るように、植物の種類が豊富である。  山頂にはかわいい山小屋があり、その前に立つと、敦賀湾を真下に、遠くは白山までの福井の山々が展開する。  登山道は常宮から3時間。栄螺ヶ岳(蠑螺ヶ岳・さざえがたけ)を経て浦底へ至る道もある。

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