穂高のどまんなか、涸沢へ! 上高地からの歩き方

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穂高連峰の中腹、2300m地点に位置する涸沢は、氷河期に削られたお椀状の広い谷間。上高地から徒歩で約6時間もの道のりだが、北アルプスの大自然を満喫できる、すばらしいトレイルが続いている。涸沢フェスティバルのメイン会場までの歩き方と見どころを紹介しよう。

文=山と溪谷編集部、写真=渡辺幸雄、PIXTA

①河童橋の脇を抜けて梓川左岸を上流へ

上高地バスターミナルから徒歩約5分で河童橋(かっぱばし)に到着。橋のたもとから、正面に奥穂高岳(おくほたかだけ)、その右手に吊尾根(つりおね)と前穂高岳(まえほたかだけ)、奥穂から左手に西穂高岳(にしほたかだけ)へのギザギザとした稜線が続く。梓川(あずさがわ)の左岸(上流から見て左側の岸)を上流に向かって進む。道は平坦で歩きやすい。

上高地 梓川の清流と穂高の絶景を満喫
梓川の清流と穂高の絶景を満喫

②河童橋から約50分で、かつての玄関口・明神に到着

白い砂礫の下白沢(しもしらさわ)の押し出しに来れば明神(みょうじん)は近い。明神館(写真)左手の明神橋を渡った先には穂高神社奥宮があるが、ここは直進。白沢出合の右手には徳本(とくごう)峠へと道が続く。1933年に上高地へのバス便が開通するまで、人々は島々(しましま)から徳本峠を越えてきていた。

かつて上高地の玄関口だった明神
かつて上高地の玄関口だった明神

③さわやかな徳沢の道。ここからさらに先へ進む

梓川から少し離れ、右手の山腹沿いに樹林のなかを進む。常念岳(じょうねんだけ)を望めるポイントや梓川を一望するポイントもある。やがてハルニレの大木が迎える徳沢に到着する。1934年まで牧場があった開放的な場所で、5月末から6月にかけてニリンソウが林床を白く染める。

上高地 さわやかな徳沢の道
春は林床のニリンソウが美しい

④いよいよ横尾!横尾大橋を渡り横尾谷へ

徳澤園の横の小川を渡って樹林のなかをさらに進み、新村橋(しんむらばし)への分岐を見送る。ややアップダウンのある道を進んでいけば、横尾(よこお)に到着。穏やかな道はここまで。横尾大橋(写真)を渡れば本格的な登山道となる。しっかりと装備や体調を整えてから橋を渡ろう。

梓川に架かる横尾大橋
梓川に架かる横尾大橋を渡る

⑤左手に現われる垂直の岩壁・屛風岩を見上げる

橋を渡り横尾谷へ入ると一気に道幅が狭くなるが、再び広い河原に出る。左手には国内最大とも言われる垂直の岩壁、屛風(びょうぶ)岩がそびえる。やがて針葉樹林とササの広がる道に入る。梓川を挟んで屛風岩をぐるりと巻くようにしながら、横尾谷を進んでいく。

屏風岩
屏風岩を登るクライマーの姿が見えるかも?

⑥本谷橋を渡ったら急な勾配の道へ

河原から右手の山腹につけられた道に上がり、しばらく平坦な路面を進む。左手には引き続き屛風岩が迫る。樹林の道を進んでいけば、吊橋の本谷橋(ほんたにばし)に到着。橋を渡った先は開けており、休憩にも向く。この先から急登が始まるので、休憩をとっておこう。

本谷橋
ここでしっかり休憩をとっておこう

⑦落石注意の青ガレは「休まず進め」

橋の先からは、ジグザグとした急な道が始まる。涸沢の谷へ入ると、幅が広く開けたガレ場の通過なども。「青ガレ」は、ガレ場上部斜面からの落石に注意しながら、立ち止まらずに通過しよう。「Sガレ」は開けた休憩ポイント。灌木帯を進み、石畳や石段の道を登る。

ガレ場の通過
涸沢はもうすぐ。気を抜かず慎重に

涸沢へようこそ!

ガレ場の通過
石段の分岐を真っすぐに進めば、涸沢に到着! 涸沢のテント場と、正面には涸沢小屋が見える(写真=渡辺幸雄)

MAP&DATA

高低図
ヤマタイムで周辺の地図を見る
最適日数:日帰り(往路のみ)
コースタイム:6時間25分
行程:上高地バスターミナル・・・河童橋・・明神・・・徳沢・・・横尾・・・本谷橋・・・涸沢
総歩行距離:約16,500m
累積標高差:上り 約1,175m 下り 約382m
コース定数:28
アドバイス:大雨の被害により、2024年夏は河童橋から明神へは岳沢湿原を経由する梓川の右岸のコース(下流を見て右側)を歩く。上高地~明神の迂回路は、上高地公式ウェブサイト(https://www.kamikochi.or.jp/news/7159/)で最新情報を確認しよう。

涸沢フェスティバルへようこそ

北アルプスの涸沢・横尾・徳沢で開催される夏の祭典「ヤマケイ涸沢フェスティバル」。2024年は9月5日(木)~8日(日)の4日間にわたり、山のエキスパートを中心としたさまざまなゲストが登場。トークイベントや映画祭、ワークショップ、ミニコンサートなどのプログラムが行なわれます。

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