「フラッと意識が遠のき、崖下へ転落・・・」登山者の遭難・ヒヤリハット体験 転倒・滑落編

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山と溪谷オンラインで実施したアンケートで集めた、遭難・ヒヤリハット体験の中から、転倒・滑落に関する体験談を紹介。

構成=山と溪谷オンライン、イラスト=KITO

2023年10月30日~11月12日に山と溪谷オンラインで実施した遭難・ヒヤリハット体験に関するアンケートでは、284件の回答をいただきました。基本データは記事最後に掲載中です。

本記事では、転倒・滑落に関する体験談を紹介します。

誰でも登山道で一度や二度はつまずいたり滑ったりして転んだことがあるかと思いますが、場所によっては大きなケガや死亡事故にもつながるものです。

いろんな体験談を読んで、今一度気を引き締めましょう。

凍結した道には要注意!

■残雪期に登山道が凍結していたが、その道を通る前にチェーンスパイクを外してしまっていた。慎重に通過しようとしたがバランスを崩し、崖に滑落してしまった。大きい50リットルザックにワカンも入れていたため、落下した際に運よく木にひっかかり、川底まで転落せずにすんだ。その後は自力ではい上がった。凍結した登山道は怖いと思ったし、面倒だとしても、もう一度チェーンスパイクをつけるべきだったと反省した。(奥黒部踏子 さん/女性/50代)
【その後の対策】凍結している道では必ずアイゼン、チェーンスパイクなどを装着するようにしている。

■2月の降雪後、単独で丹沢の塔ノ岳の帰り大倉尾根を下山中に、もうほぼ雪がなくなりかけていたのでチェーンスパイクを外したのですが、堀山の家を過ぎたところで氷に滑って谷側に転倒しました。そのまま3回転ほどしました。岩場でなく、切り株などもなかったので、体を打ちつけることはなかったのですが、見上げると10mくらいは滑り落ちていました。運よく腕が立ち木にかかり止まりましたが、下を見るとかなり急でここで止まらなければ、もっと下まで落ちていたのではないかと思いました。たかが10mくらいと思っても、登山道でない斜面は滑ったりして登り返すのは大変でした。(aki-se さん/男性/60代)
【その後の対策】冬の低山の下りはチェーンスパイクを外すタイミングが難しい。外した後は慎重に降りるようにしています。

油断大敵

■夜、ヘッドランプをつけて、冷池山荘のテント場から小屋に向かう登山道で、振り向いて友人に話しかけたら、「目の前、崖だよ」と言われ、とっさに立ち止まる。前を向き直したら、崖っぷちに立っていた。小屋近くの登山道ということで油断していたが、登山道が崩落地をかすめるように通っていた。声をかけられなければ、転落死していたと思う。危険な場所で危ない目に遭った経験よりも思い出すたびにお腹が重たくなる。(よし さん/男性/40代)
【その後の対策】とにかく、山中で動く時には、片時も油断しない。なにかを見たり操作しながら歩かない。周囲をよく観察する。

■八ヶ岳の登山中に写真を撮るのに夢中になってしまい、登山道脇にあるロープのそばまで行ってしまっていました。写真を撮り終わってよく周りを見てみると、ロープの一歩先は切り立った崖でした。ロープまでは大丈夫だろうと思っていましたが、半歩ロープから足が越えてしまっていたらバランスを崩して滑落の危険性もあり、危なかったです。(ymg さん/男性/40代)
【その後の対策】人工的に設置してあるものを過信しないようにしています。(設置していただいていることは大変ありがたいと思っています)

■鎖場のある登山道の下りで、鎖場の場所をまだ先だと勘違いして小走りで下っていたら、急に崖の鎖場が現われてギリギリ止まった。あと数秒気付くのが遅かったらそのまま落ちていたと思うとゾッとする。(さめよし さん/男性/50代)
【その後の対策】焦って小走りで下らない、登りで気づいた危険箇所は地図やメモに記入してしっかりと記憶しておく。

転倒時に骨折

■夜行バスで白駒池へ。ソロでの山行。コケの森を抜け、にゅう~東天狗岳~黒百合ヒュッテ泊~高見石小屋~白駒池の予定でした。コケの森を歩いているときに、丸太のコケに滑って、横向きに転倒。自分で自分の足を蹴り上げて脛に拳大のコブができた。あまり気に留めず、予定通り東天狗岳登頂。しかし、小屋で動きに違和感を覚え、下山は渋の湯に変更。下山すると、足は膝から下が内出血しており、さらに電車に乗るころには、呼吸がキツイことに気づく。帰宅後、翌日病院に行くと、肋骨にヒビがあり、脛の内出血はすでに血が固まりだしており、注射器で血が抜けきらない状況。2年経った今でも、ほんのり色素沈着が残っている。(ばぁば さん/女性/50代)
【その後の対策】登山ハイにならないように気をつけている。慌てずゆっくり、ストックを使って足元確認。自分の異変に気づける余裕ある行動を心がけている。

■8月の晴天時、日光戦場ヶ原で木道の後ろから走って来た子どもを避けるべく、先の空地に急いだ際、傾いた木道で落ち葉に滑って転倒し、足首を骨折した。骨折した脚でバス停まで500m歩き駐車場へ。そこからマイカーで帰宅。病院にかかり骨折と判明。コロナが流行っている初期の頃で、周りに迷惑かけたくなく、自力で帰った。(NOV さん/男性/60代)
【その後の対策】ゆっくり降りるよう、心がけている。

■夫と2人、悪天候の東鎌尾根を槍ヶ岳に向かう途中、強風にあおられて転倒し、胸を打撲。痛みが続く中、槍ヶ岳山荘までなんとか到着。湿布薬をもらいに診療所を訪ねたが在庫がなく、大混雑の小屋で痛みを耐えて寝返りも打てず、朝まで一睡もできず。下山の翌日、整形外科を受診したら、みごとに肋骨が折れていました。(北岳 さん/女性/60代)
【その後の対策】転倒しないように細心の注意を払って歩いています。

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登山者アンケート

山と溪谷オンラインで実施した登山者へのさまざまなテーマのアンケートの結果をご紹介。

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