保温力、大幅ダウンしてませんか?登山ウェアのメンテナンス②ダウンウェア編

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高機能ウェアの性能は使っているうちに汚れなどで少しずつ低下していくものだが、手入れ次第で元の快適さを取り戻すことができる。小屋泊やテント泊で出番の多い薄手のダウンウェアや、寒い季節に活躍する羽毛量の多いダウンシュラフまで、難しい印象のあるダウン製品のメンテナンス方法を紹介しよう。

文=山と溪谷編集部、写真=田丸瑞穂、協力=モンベル

ダウン製品を洗濯しないと保温性が低下することも

ダウンは登山に欠かせない素材だ。近年は高機能な化繊素材が増え、保温着にはダウンを使用しないモデルも普及しているが、軽さに対する暖かさは高品質のダウンに勝るものはない。そのため、重くかさばりやすいシュラフなどの道具は今もダウンモデルが一般的だ。

一方で、メンテナンスは手軽とはいえない。ダウンの保温性が優れるのは、ひとつひとつの羽毛が空気を抱え込み、膨らむおかげだ。しかし、一般的な家庭用洗剤(弱アルカリ性)では、ダウンのたんぱく質にダメージを与えてしまったり、ダウンが膨らまなくなるこダとで羽毛が片寄って、冷気を遮断できなくなったりする可能性がある。

かといって、洗濯を怠って使い続けると、羽枝(うし)と呼ばれる羽毛の細かな毛が皮脂などの汚れで固まってしまい、空気を蓄えられずにやはり保温性が低下する。多少の手間はかかるが、自宅で手洗いできるので、膨らみが弱まったと感じたら手入れを行ないたい。

ポイントは、羽毛を傷めないようにやさしく洗い、しっかり乾かすこと。慣れれば苦ではないし、ダウン製品は高価なものが多いので、長年にわたって使用できるよう、愛着を持ってメンテナンスに取り組もう。

メンテナンスの対象=ダウンを含む中綿の入ったアイテム

  • ダウンジャケット・ダウンパンツ
  • ダウンシュラフ
  • 化繊綿の保温着
  • 化繊綿のシュラフ
  • ダウンシュ-ズ など

ダウンのたんぱく質にダメージを与えにくい中性洗剤を使ったメンテナンスのため、ダウン製品全般が対象だが、ダウンにかかわらず、化繊素材を使用した中綿のウェアやシュラフなども紹介する方法でメンテナンスできる。

使用する道具

  • たらい:洗濯したいダウン製品を浸せるサイズ。シュラフなどの大きなものは浴槽がおすすめ
  • 専用洗剤(中性):ダウンのたんぱく質を傷めないために専用洗剤を選ぶこと
  • スポンジ:軽さを重視したアイテムは生地が薄いこともあるので、ブラシではなくスポンジがよい
  • テニスボール:ドラム式の乾燥機を利用するときに用いるが、なくても可
コラム

フェザー、グース、フィルパワーって何?

わかるようでわからないダウンに関連する用語。そもそもダウンとは水鳥の胸の羽毛を指し、フェザーは翼の羽根を指す。また、グースとはガチョウのことで、水鳥のなかでも体の大きなガチョウはダウンも大きく保温力に優れる。フィルパワー(FP)とは、ダウンがもつ「かさ高」を数値で表わした指標。数値が高いほど、暖かい空気を羽毛に蓄えられ、優れた保温力を発揮する。登山用品に用いられるのはグースのダウンやスモールフェザーで、一般的に高品質とされる650FP以上のものが多い。

NEXT 準備・洗濯・乾燥の手順
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プロフィール

山と溪谷編集部

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