レンゲツツジの咲き誇る甘利山と千頭星山で富士見山歩

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読者レポーターより登山レポをお届けします。naobonさんは梅雨入り前に甘利山(あまりやま)・千頭星山(せんとうぼしやま)へ。

文・写真=naobon


関東地方は梅雨入り前の、曇天続きの週末。こうした天気の日には、お花見山歩がよさそうと、レンゲツツジで有名な、甘利山に向かいました。韮崎ICで高速道路を下り、戦国大名の武田家の歴史の息吹が流れる地域をドライブ。武田神社や新府城などの道標を横目に、県道甘利山公園線に入ると、途中車道を横切るキジ1羽。堂々たる王者の歩みです。

県道甘利山公園線の車道を横切るキジ
甘利山公園線を雉様横断中。この先も野鳥との出会いの予感

甘利山登山口駐車場には、7時45分頃到着。曇天予報のためか、駐車場はまだ空いていました。登山口駐車場にはきれいなトイレも完備されており、地元のボランティアの方々が駐車場で登山のアドバイスもしてくださいます。身支度を整え、甘利山登山口を朝8時に出発。

山小屋風カフェ・つつじ苑
いざ出発。山小屋風カフェ・つつじ苑を横目に進みます

レンゲツツジはすでに満開。曇りの天気だからこそ、木々の緑とレンゲツツジの紅色のコントラストが一層映えます。両手に花の登山道を20分ほど緩やかに登り、鍋頭(なべあたま)と呼ばれる小ピークを越えると、甘利山山頂に到着です。山頂には、写真家と思しき方々が数人、ガスが晴れるのを待っていました。晴れていれば、レンゲツツジの花畑越しに富士山が見えるとのことですが、残念ながらこの日は富士山も雲の中。一息ついて、千頭星山へと向かいます。

満開のレンゲツツジ
甘利山山頂
満開のレンゲツツジと、甘利山山頂

甘利山山頂を過ぎると、樹林帯の登山道となります。いったん下り、その後は登り基調。一面緑色の世界を進み、奥甘利山(1843m)への分岐に到着です。奥甘利山は富士山が見える好展望地とのことですが、このときはガスってきていたので、通過することとしました。さらに傾斜がきつくなり登山道を進むと、大西峰(おおにしみね2066m)に到着します。ここは御所山(ごしょやま、1892m)との分岐です、本日の目的地である千頭星山方面に向かうため、分岐道標に従います。大西峰からさらに20分ほど進むと、樹林帯の中にある、千頭星山山頂に到着です。千頭星山山頂からは風景は望めませんが、木陰で休憩するのにはよさそうな広場がありました。

千頭星山山頂。樹林帯の中にあります
千頭星山山頂。樹林帯の中にあります

千頭星山から先は、夜叉神(やしゃじん)峠~鳳凰(ほうおう)三山途中にある苺平(いちごだいら)へと続く道になります。ここは、上級者向けのコース(破線ルート)となるため、安易な立ち入りは控え、千頭星山山頂近くでブランチタイムです。定番のコンビニおにぎりとどら焼きを食べて、登山の心地よい疲れを癒し、下山に備えます。

下山路は往路を引き返します。途中から天気が好転し、青空が見えてきました。景色が明るくなるにつれ、気持ちも明るくなります。そして、ついにこの日初の富士山ドーン!です。開山日を控えた静かで堂々たる富士の山はやはり荘厳でした。

樹林の奥に富士山が見える
樹林の奥に富士山が見える
富士山
天気は曇りでしたが、最後にドーン!と顔を見せてくれました

復路途中の樹林帯は、野鳥の楽園でした。朝にキジが横切ったときの予感的中! 登っているときには気づかなかった鳥のさえずりに癒されながら、下山路を進みます。近くにいるのに姿は見えないと思いきや、目の前の林のなかに、ウグイスを発見。新緑の緑の葉が保護色となっていましたが、姿をとらえることができました。

ウグイス
ウグイス発見! 木々の緑に溶けこんでます

さらに、頭上できれいな鳥の声が聞こえたので、空を見上げると、赤茶色の羽の鳥が、木のてっぺんで堂々とさえずっています。ホオジロでしょうか。高いチチチという声で、心地よさそうに歌い続けていました。

木のてっぺんでさえずる鳥
晴れてきました。木のてっぺんで、気持ちよさそうに独唱しています

復路は、奥甘利山にも立ち寄り、富士山の遠景を楽しみます。途中、甘利山方面を見据えると、紅色に染まる甘利山山頂がみえました。レンゲツツジの楽園であることを改めてわかります。レンゲツツジの花園へ向け、最後の登り返しをがんばって登ります。20分ほど歩くと、再び甘利山山頂に到着です。朝より人も増え、にぎやかな山頂でした。山頂からは、レンゲツツジ越しに、麓の街も見えました。

登山口には12時過ぎに到着。ちょうどお昼時なので、行きで横目に見たカフェ・つつじ苑でいただきました。ランチメニューは、地元のシカ肉を使ったジビエカレーや天ぷら蕎麦、ビーフシチューなど、多彩です。登山後だったので、ビーフシチューと、季節のジュースをいただきました。いずれもとてもおいしかったです。

つつじ苑の壁には、地元出身の写真家の牛山俊男さんの風景写真や、甘利山で生きる動植物の写真がところ狭しと飾ってあり、山行の振り返りや、さまざまな季節の甘利山の風景に思いを馳せることができました。昔、西荻窪のカフェで開催されていた牛山俊男さんのトークライブに参加したことを思い出し、懐かしさと出会いにあふれた山行でした。

(山行日程=2024年6月16日)

カフェ・つつじ苑のビーフシチュー
登山の疲れをビーフシチューで癒やしました

MAP&DATA

ヤマタイムで周辺の地図を見る

コース

広河原駐車場~甘利山~大西峰~千頭星山~大西峰~甘利山~広河原駐車場(参考コースタイム:4時間20分)

naobon(読者レポーター)

naobon(読者レポーター)

東京都在住、神戸市出身。夏山シーズンは日本アルプスの稜線縦走を、冬は低山・里山ハイキングや山城巡りを、気ままに楽しんでいます。山行後の温泉とビールにこの世の極楽を感じる、週末ハイカーです。

この記事に登場する山

山梨県 / 南アルプス前衛

甘利山 標高 1,671m

 例年6月に入ると、ふもとの韮崎から朱色に広がる斜面が、鳳凰三山の左下に見える。これが甘利山である。最近は、頂上直下まで車で行けるので訪れる人も多い。富士山をバックにそのレンゲツツジが見事に咲き誇る。  中腹には椹池があり、南面の御庵(おあん)沢の源頭には静かな大笹池もある。池には次のような伝説が秘められている。ある日、ふもとの旭村の老婆が洗濯をしていたら、かぶっていた手ぬぐいが風で飛び、頭に角の生えているのを村人に見られてしまった。老婆は椹池(さわらいけ)に飛び込み、池の主となった。天文年間、領主甘利氏の息子がこの池にはまり、亡くなった。領主は怒り、付近のサワラの大木を池に投げ込んだ。すると1頭の赤牛が飛び出して、大笹池に逃げ、さらに御影村野牛島(やごしま)の能蔵池(のうぞういけ)へと脱出、その後のことは誰も知らないという。  山頂直下の広河原駐車場から30分で山頂へ。

山梨県 /

千頭星山 標高 2,138m

山梨県の韮崎市と南アルプス市の境にある山。レンゲツツジで有名な甘利山の先にあり、甘利山とともに登られることが多い。 山頂は木々に囲まれていて三角点があるだけだが、手前の尾根は笹原が広がる開放感がある場所で展望が良い。

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