水戸藩主も参詣した由緒ある御岩神社から御岩山、高鈴山を歩く

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読者レポーターより登山レポをお届けします。勝五郎さんは茨城県のパワースポット、御岩神社から御岩山(おいわさん)と高鈴山(たかすずやま)へ。

文・写真=勝五郎


梅雨入り前の6月中旬、茨城県の御岩山(492m)と高鈴山(623m)を歩いてきました。

スタート地点は御岩神社です。御岩神社の創建時期は不明で古代より信仰の聖地であったとされ、あの水戸藩歴代当主が参詣に訪れたパワースポットです。

御岩神社参道
御岩神社参道

鳥居をくぐると参道脇に大きな木々が立ち並び、沢の音やコケに癒されながら楼門をくぐり社殿まで歩きます。この間、別世界にいるような空気に包まれているようでした。

御岩山の三本杉(天然記念物)
御岩山の三本杉(天然記念物)
参道脇の青々としたコケ
参道脇の青々としたコケ

神社社殿まで進むと左側に表参道、右側に裏参道の案内表示が見えます。今回は登りで表参道を通り、下りで裏参道を通ることにしました。

社殿脇の表参道入口
社殿脇の表参道入口

表参道の足元には若葉の草木やアジサイが咲いています。都内ではアジサイの開花がピークを迎えていましたが、ここではまだ咲き始めたばかりでした。

足元の草木ばかり見ていると転倒の恐れがあります。地面は踏み固められ木の芽が露出している場所が目立ちます。木の根は意外と滑ったり引っ掛けて転倒するので極力避けたいのですが、あまりにも木の根が多いので土踏まずで踏むことを意識して歩きました。

木の根が露出した登山道
木の根が露出した登山道
開花しはじめのアジサイ
開花しはじめのアジサイ

「かびれ神宮」を過ぎると一般的な登山道になり、山頂近くでは急斜面や岩場が出てきます。岩場では歩ける場所が限られるため、人とすれ違う時はどちらかが譲ることになります。とは言っても決して難しい道ではなく、慎重に上り下りすれば問題ありません。

御岩山山頂(賀毗礼の峯)に到着すると茨城県の山々が見える展望が待っていました。この日はかすんで遠くは見えませんでしたが、空気が澄んで条件がよければ日光連山や那須連山が見えるそうです。山頂には20人前後が休憩できる平らな場所と展望台のような岩があります。その岩の裏側にはしめ縄で囲まれた石祠もあります。山頂は各々が楽しみながらのんびりできる場所ですが、御岩神社の境内であることから飲食や火気が禁止になっています。禁止を知らずに来てお弁当は開かずに水分補給だけされていた人を数名見かけました。

木札の山頂表示。飲食および火気が禁止
木札の山頂表示。飲食および火気が禁止
山頂からの展望。条件がよいと日光連山や那須連山が見える
山頂からの展望。条件がよいと日光連山や那須連山が見える

ほとんどの人はここで下山しますが、我々はもう1つ先の高鈴山に向かいます。高鈴山までは草木に覆われた尾根を歩きます。途中ギンリョウソウやコアジサイを見つけては足を止めて写真撮影しながらのんびり歩きました。尾根道はとても歩きやすいのでスイスイ歩けます。国土地理院の地形図でも尾根を通る表示になってはいますが、実際は巻道や作業道などが複数あり、道を間違える可能性があります。分岐では必ず地図やGPSアプリで現在位置とこれから行く方向を確認した方がよいでしょう。

歩きやすい尾根道が続く
尾根道で見かけたコアジサイ

巨大な電波塔が見えると高鈴山の山頂はすぐそこです。山頂には大小合わせて3つの電波塔があり圧倒されますが、北側を向くと山頂表示と展望デッキがあるのでホッとします。展望デッキからはさきほどまでいた御岩山と日立市内が見えます。かすんで遠くは見えませんが、日立市内の奥にうっすら太平洋が見えました。普段、山頂から太平洋を見ることはないので、自分としては新鮮でした。

高鈴山山頂
展望デッキからは日立市内と太平洋が望める

高鈴山は田中澄江の『花の百名山』の中でセンブリが観賞できる山として紹介されています。センブリの開花時期は秋です。紅葉とセンブリのタイミングに合わせて訪れるのもよさそうです。

下山は御岩山までは同じ道を通り、御岩山からは裏参道を利用しました。裏参道は途中小さな石でザレている場所や粘土質の地面が露出している場所が何箇所もあります。表参道より状態がよくないので注意が必要でした。そんな状態の中を普段着と普段靴で登ってくる御岩神社の参拝者がたくさんいました。みなさん大汗をかきながら「あとどのくらい?」と必死に登っていました。

今回のルートは自然豊かな森を歩き、低山ながら眺望が望めます。標高差は約470mで往復3時間半ぐらいですので登山初心者にはおすすめです。我々は御岩神社の無料駐車場(約200台)に車を止めましたが、JR日立駅から御岩神社までバスが出ていますので公共交通機関を利用して来ることも可能です。

(山行日程=2024年6月15日)

MAP&DATA

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コース

御岩神社~表参道~御岩山~高鈴山~御岩山~裏参道~御岩神社(参考コースタイム:2時間50分)

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勝五郎(読者レポーター)

勝五郎(読者レポーター)

奥多摩と高尾周辺を中心に活動しています。時々日本アルプスへも遠征します。山頂をめざすより、その山の自然や歴史を感じるのが好き。下山後は飲食店に駆け込みます。

この記事に登場する山

茨城県 /

御岩山 標高 492m

茨城県日立市の奥ひたちきららの里付近にある山。名前のとおりの山頂部に巨岩があり、ロッククライミングの練習の場にもなっている。 山自体がご神体となっており、古くから信仰の山として祀られていて、山全体に188もの神様が祭られている。 山頂からは太平洋を眼下に見下ろし、遠く那須連山を一望にできる。

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