早朝の静かな高尾山ハイキング。涼しげに咲く花々に癒される

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読者レポーターより登山レポをお届けします。ケロケロさんは早朝の静かな高尾山でお花めぐり。

文・写真=ケロケロさん


梅雨時の静かな高尾山を歩いて、咲いている花を楽しんできました。週末の高尾山といえば、お祭りのように人でごった返しているイメージ。しかし、暑さと雨模様が相まって、この日はハイカーも少なかったようです。

朝7時過ぎ、人影まばらな京王高尾山口駅を出発しました。清滝駅を通り過ぎて6号路へ向かうと、ヤブミョウガの白い花が涼しげに出迎えてくれました。

高尾山 ヤブミョウガ
ヤブミョウガ

6号路に入ると、沢沿いにしっとりとイワタバコが咲いていました。多くはまだつぼみで、しばらく楽しめそうです。琵琶滝の上部にも開花したイワタバコがありました。

高尾山 イワタバコ
イワタバコ
高尾山 イワタバコ
イワタバコ

ささやかな小花も咲いています。よく見られたのはハグロソウとハエドクソウ。ハグロソウは花びらが2枚なのが不思議な感じです。

高尾山 ハグロソウ
ハグロソウ
高尾山 ハエドクソウ
ハエドクソウ

前日の雨で道は濡れていましたが、気温はさほど高くなく、気持ちよく歩けました。大山橋を過ぎて、沢の中を歩く区間に入ると、ひんやりとした風が通って涼しい。沢の中といっても、石の上を伝って歩けるので、ほとんど濡れることはありません。

高尾山 6号路
6号路の沢の中を歩く場所は、涼しい風が吹き抜ける
高尾山 キツネノボタン
キツネノボタン

6号路の上部、新しい木の階段を頑張って登り、5号路に入ると、オオバギボウシやホタルブクロが咲いていました。すぐ脇の木にアオゲラがいましたが、シャッターチャンスを逃しました。残念。樹上にはヤブサメ、遠くからホトトギスの声も聴こえます。

高尾山 ハグロソウ
オオバギボウシ
高尾山 ハエドクソウ
ホタルブクロ

山頂に着いたのは朝8時半。休憩する人影はまばらで、ビジターセンターやお店も準備中でした。富士山は雲の中。

朝ごはん代わりのパンを一つ食べて、4号路へ向かいました。こんなに静かな4号路も久々で、足元の花を見ながらのんびり歩きます。アカショウマがちょうど見頃になっていました。トリアシショウマと似ていますが、高尾山で見られるのはほぼアカショウマだそうです。

高尾山 アカショウマ
アカショウマ

4号路の途中から分岐を曲がっていろはの森へ。木の根が出ている急坂をジグザグに下っていきます。樹名板がついた木があるのですが、耳なじみのない名前も多くて、なかなか覚えきれません。

日影林道に合流すると草花の種類がぐんと増え、写真を撮りながらで歩くペースもスローダウン。

高尾山 タマアジサイ
タマアジサイ
高尾山 ヒダリマキマイマイ
ヒダリマキマイマイ。巻き方が逆だ
高尾山 ヤマユリの花
ヤマユリの花は大きくて豪華

お昼ごろには天気も晴れ、気温も上がって暑くなりました。日影バス停まで林道を一往復して、お昼過ぎまでたっぷりと観察を楽しんだ後、日影バス停からバスに乗ってJR高尾駅まで戻りました。春秋のシーズンには満員で立ち乗りになってしまうバスも、この日は空いていました。

高尾山 ムラサキニガナ
ムラサキニガナ
高尾山 ヒナノウスツボ
ヒナノウスツボ。縦半分に切ったような花が面白い
高尾山 ダイコンソウ
ダイコンソウ
高尾山 アキノタムラソウ
アキノタムラソウ

近所の公園ではあまり見ないような山野草もあり、帰宅後に図鑑で調べるのも楽しみです。東京都内でありながら、高尾山の自然が驚くほど豊かなことを、来るたびにしみじみと感じます。

しかし、高尾ビジターセンターによると、近年は盗掘被害や踏み込みによる消滅が急増しているそうです。写真を撮る時は登山道から踏み出ないように、草花の近くまで踏み込んで根を痛めてしまわないように。また、珍しい草花を場所が推測できる形でネットに載せたりしないように。高尾山の豊かな植生を守るために、自分にできることをこれからも考えていきたいと思っています。

(山行日程=2024年7月13日)

MAP&DATA

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コース

高尾山口駅~琵琶滝~高尾山~いろはの森コース~日影バス停(参考コースタイム:3時間15分)

ケロケロさん(読者レポーター)

ケロケロさん(読者レポーター)

散歩をするように山を歩いて、木々や草花の折々の姿や、生き物との偶然の出会いを楽しみたい。双眼鏡をぶらさげて、関東近郊の山をのんびり歩いています。

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この記事に登場する山

東京都 / 奥多摩

高尾山 標高 599m

 関東の三霊山の1つ、薬王院有喜寺がある。天平16年(744)奈良期の高僧行基が開山したと伝えられている。高尾山頂は有喜寺からさらに登った所にある。山頂の三角点のかたわらに十三州見晴台の標識がある。  山麓には高尾自然科学博物館があり、山中の動植物の標本の展示がある。また山頂に向かうケーブルカーとリフトがあるが、低い山なので歩いて登りたい。1号から6号の自然歩道があり、山の自然を観察することができる。山頂から冬の晴れた日には相模湾に浮かぶ江ノ島まで見渡すことができる。  山頂から西に山稜をたどり、一丁平、城山、小仏峠を経て景信山、陣馬山へと足を延ばす登山者が多い。高尾山一帯は有喜寺の境内だが、開発で一部の自然が破壊されつつある。  高尾山口駅から薬王院有喜寺―高尾山―城山―小仏峠を経由して高尾駅まで約4時間。

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