富士山眺望とアジサイのお花畑を楽しむ三ツ峠山から天上山の縦走ハイキング

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読者レポーターより登山レポをお届けします。上町嵩広さんは富士山とアジサイを楽しめる三ツ峠山(みつとうげやま)から天上山(てんじょうさん)の縦走ハイキングへ。

文・写真=上町嵩広


7月下旬、山梨県の三ツ峠山(開運山)から天上山(カチカチ山)へ縦走して来ました。三ツ峠山は富士山眺望の山として有名で、また天上山には10万株ともいわれるアジサイが植栽されており、そのお花畑のなか河口湖へ下りていきます。盛夏で汗だくの登山でしたが見所たくさんの楽しめる山行でした。

今回はちょっと楽をさせてもらい、富士急行線・三つ峠駅からタクシーを利用して登山口の手前まで移動し、そこから登山開始です。登り始めてすぐに達磨石と呼ばれる梵字が刻まれた石碑があります。ここから先はしばらくつづら折りで斜面をひたすら上がっていきました。初っ端からけっこう手ごわい。

三ツ峠山(開運山) “股のぞき”
“股のぞき” 黒富士がきれいに映えていました

三ツ峠山はかつて山岳信仰が盛んであり、今回のルートが本来の参道であったようです。そのため道中には石仏や小さな祠などいくつもの信仰の遺物や遺跡が残されています。要所要所にベンチもあって休憩が取りやすかったです。本コースの名所のひとつである“股のぞき”までやってくるとクッキリとした富士山の姿をこの日初めて目にすることができました。

三ツ峠山の山頂が見えてくる
三ツ峠山の山頂が見えてくる
三ツ峠山 屏風岩を登るクライマーのみなさん
屏風岩を登るクライマーのみなさん

さらに斜面を登っていき、八十八大師(はちじゅうはちだいし)まで上がってくると、その先からは登山道が比較的なだらかになります。三ツ峠山の山頂も望めるようになり、ロッククライミングの名所である屏風岩をはじめとする岩壁をぐるりと回り込むように進んでいきます。この日も何組ものクライマーたちが岩登りに熱心にチャレンジしていました。太陽に照らされた岩は熱したフライパンのように熱そうですが。

三ツ峠山 屏風岩を仰ぎ見る
屏風岩を仰ぎ見る
三ツ峠山 山頂の周辺ではシモツケソウが可憐な花を咲かせていました
山頂の周辺ではシモツケソウが可憐な花を咲かせていました
三ツ峠山頂上からの富士山の眺望
三ツ峠山頂上からの富士山の眺望

屏風岩を通り過ぎて階段道を上がりきるといよいよ三ツ峠山の頂上です。山頂からの富士山の眺望は本日のクライマックスとも言えますが、このときは正午近くになり富士山にはあいにく雲がかかり始めていました。しかし雲がかかった富士山の景観もなかなか風情があるように感じます。山頂で一息入れてから、天上山そして河口湖へ向けて下山開始です。

三ツ峠山 河口湖の展望
河口湖の展望

山頂から南側へ延びる府戸尾根の森の中を下っていきます。送電線鉄塔に差し掛かると木々が刈り払われており、一気に視界が開けます。右手に河口湖、左手に富士山の展望スポットです。ふたたびどんどんと登山道を下っていき、やがて稜線を少し上がります。この日は右手の河口湖から吹き上げて森の中を通り抜ける風が心地よかったです。斜面を登り切ると天上山に到着です。天上山は童話「カチカチ山」の舞台とも言われ、太宰治の短編小説の題材にもなっています。

天上山 富士山とアジサイ
富士山とアジサイ
天上山 鮮やかに色づくアジサイの花たち
鮮やかに色づくアジサイの花たち
天上山 あじさいハイキングコースを下りていきます
あじさいハイキングコースを下りていきます

天上山の山頂から少し下ると観光地化された山上の富士山パノラマロープウェイ・富士見台駅です。この日も家族連れの多くの観光客でにぎわっていました。ロープウェイ駅の脇の登山道を進みます。この先のルートの後半がアジサイの群落となります。10万株ともいわれる各種のアジサイが咲き誇っていました。場所によってはまるでヤブこぎのようにアジサイの中をかき分けて進むところもあります。天上山のアジサイは例年8月上旬まで楽しめるようです。最後に護国神社の石段を下ると登山道も終わりです。住宅街の間を抜けて富士急行線・河口湖駅へ向かいます。

三ツ峠山から天上山そして河口湖へ至る登山コースは要所要所で富士山の眺望に恵まれていました。やはり東京から見る富士山とは違ってデカい! その雄大さを間近に感じることができます。登山道は整備されており、大きな難所や危険箇所などもあまりなく、歩きやすいハイキングコースという印象でした。

(山行日程=2024年7月28日)

立ち寄り情報
「三ツ峠山荘」

「三ツ峠山荘」のマシュマロトースト
実は今回の山行はアジサイの観賞のほかに三ツ峠山荘の小屋番さんの手作りケーキを食べることも目的のひとつでした。しかし、残念ながら夏期はケーキはお休みのこと。代わりにマシュマロトーストとドリップコーヒーをいただきました。トーストされたマシュマロの柔らかい食感と甘いチョコレートソースが疲れた体を癒やしてくれて心も和みます。富士山を眺めることができる外のベンチでしばしの休憩を取らせていただきました。

MAP&DATA

ヤマタイムで周辺の地図を見る

コース

達磨石~三ツ峠山~天上山~河口湖駅(参考コースタイム:6時間30分)

上町嵩広(読者レポーター)

上町嵩広(読者レポーター)

登山歴は15年ほど。普段は奥多摩や丹沢周辺に出没し、八ヶ岳や北アルプスにも出張ります。好きな山は八ヶ岳の編笠山。山の抱負は「ちょっとだけ背伸びした山を登ってみる」。

この記事に登場する山

山梨県 / 富士山とその周辺 御坂山塊

開運山 標高 1,785m

 三ツ峠は岩登りのゲレンデとして古い歴史がある。大正13年6月1日、沼井鉄太郎らにより試登され、その記録が発表された。昭和4年には富士山麓電気鉄道(現富士急行)が営業運転を開始し、新聞輸送を兼ねて、早朝3時前後の電車を運転していた。休暇の少なかった勤労青年も夜行日帰りが可能となり、多くの岳人を迎えた。  それ以前は、唯阿大和尚の開山になる信仰の山であった。富士急行の三ツ峠駅からの表登山道には今も数々の旧跡が残っている。  三ツ峠は、3つのドッケ(突起)から成り立ち、三ツ峠の字をあてた。これに二説がある。岩登りのゲレンデ、屏風岩のピークを開運山といい、二等三角点が埋設されている。これに北側の電波塔のある御巣鷹山、南の木無山を加えた総称。もう一説は、開運山の東のやはり電波塔のある中峰、東峰を含めた三峰の称。どうも後者の方が山名の由来にふさわしい感じがする。  ここから眺める富士山、南アルプス、北アルプス、奥秩父、八ヶ岳、道志の山など、眺望は絶品の一語に尽きる。  表登山道の三ツ峠駅から4時間30分で山頂へ。最短コースは御坂トンネルの先の裏登山口から1時間30分で山頂に達する。

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