棒ノ折山の白谷沢コースなら真夏の奥武蔵登山も涼しい⁉
読者レポーターより登山レポをお届けします。ケロケロさんは棒ノ折山(ぼうのおれやま)の白谷(しらたに)沢コースで日帰り登山。
文・写真=ケロケロさん
奥武蔵の棒ノ折山(棒ノ嶺)は、清流をたどって沢歩き気分を楽しめる白谷沢コースが人気です。標高969mの低山ですが、沢沿いならば、もしかして涼しいのでは? 標高100mにつき気温は0.65℃下がるそうだから、ざっと−6℃、加えて清流で冷やされた空気は、多少は涼しさを期待できるのでは? そう考え、関東地方が梅雨明けした週末、朝早い時間を狙って登ることにしました。
朝7時、さわらびの湯バス停を出発。夏空に緑濃い山肌が映えます。日差しの照りつける名栗(なぐり)湖(有間ダム)を渡り、ダム湖沿いの道路を歩いて、登山ポストのある白谷沢登山口に到着。やっと日陰に入ります。ここからはずっと森の中です。
強烈な日差しはなくても、湿度は高くて蒸し暑い。汗を拭きながら、しばらく左岸をゆるやかに登っていくと、濡れて苔むした岩に早速イワタバコを発見。イワタバコの花言葉は「涼しげ」だそうです。まさに涼しげです。
登るにつれ沢が近くなり、道が沢と交わるようになると、浅い箇所の徒渉を繰り返しながら、沢に沿って登っていきます。流れる水音がなんとも心地よいです。やがてゴルジュと呼ばれる、切り立った岩壁に挟まれた狭い谷が現われました。
初めてここに着いた時は「おお~、これがゴルジュかぁ、かっこいいなぁ」と思い、次いで「これを巻く道は、あれ? どこに」とキョロキョロしてしまいました。道はゴルジュの真ん中、沢の中を通るのが正解です。うっかり登りかけた右岸には、今は進入禁止のロープが張ってあります。
水の流れる岩になんとか手足をひっかけながら登っていくのがスリリングでおもしろく、このコースの醍醐味でもあります。ゴルジュを過ぎるとすぐ上に天狗の滝。滝のまわりにはイワタバコがたくさん咲いていました。天狗の滝の右岸を登ると、岩の上に咲いたヤマユリの花を見つけました。まるで大きな盆栽のような風情です。
その後も徒渉を繰り返し、鎖やロープにつかまりながらよじ登ったり、2つ目のゴルジュを通過したりと、ちょっとしたウォーターアスレチックが続きました。
やがて林道を横切り、東屋跡のベンチに到着。ここで一息つくのですが、ベンチは日陰が少なくて、暑くてすぐに出発しました。
道は沢を離れ、山腹をゆるやかに巻いて、岩茸(いわたけ)石の分岐に着きます。岩茸石にもベンチがありますが、少し上のテーブルのあるところまで行って休憩にしました。凍らせて持ってきた水筒とプラティパスは、どちらも半分以上溶けていました。水筒は飲みきってしまったため、プラティパスの溶けた水でスポーツドリンクを作り足しました。
さて、ここから長い急登が山頂まで続きます。壊れた階段や木の根を避けつつ、ひたすら我慢。こんなに急だったっけ?と思うくらい、ヘトヘトになりました。気温が高いとバテるのも早いみたい。
休み休み登って、いつもよりだいぶ時間がかかりました。山頂広場に到着した時には思わず両手でガッツポーズをしてしまいました。キツかった~。
山頂広場では、十数人が木陰や東屋で休憩していました。桜の木陰に腰を下ろして私もお昼休憩。木々が落葉する冬から春先の季節であれば、武甲山(ぶこうさん)や伊豆ヶ岳(いずがたけ)など秩父・奥武蔵の山々が見渡せるのですが、この日は薄曇りで展望はほとんどありませんでした。
下りは滝ノ平尾根コースを使いました。白谷沢コースは人も多いし難所もあるので、こちらを選んだのですが、こちらも急坂で木の根は多いし、結構大変。下るにつれ、気温もぐんぐん上がって、暑いこと、暑いこと。プラティパスの氷は完全に溶け、汗を吸わなくなってしまった手ぬぐいを予備のものと交換しました。
喉が渇く前に、と気をつけてこまめに水分を補給しました。暑さにうんざりして、一刻も早く下山したいと思うのですが、ペースが上がりません。水を飲むために立ち止まった場所でふと、足元にツチグリを見つけました。そっと指で押すとパフッと胞子を吹き上げます。ちょっとおもしろい。
山頂からおよそ2時間、ダカダカと下って、さわらびの湯へ戻って来ました。いや、本当にもう、暑かった・・・。汗だくで下着まで絞れるほどでした。登山口にお風呂があるのはありがたいです。汗を流して、さっぱりして帰宅しました。
(山行日程=2024年7月20日)
MAP&DATA
コース
さわらびの湯~白谷沢コース~棒ノ折山(棒ノ嶺)~滝ノ平尾根コース~さわらびの湯(参考コースタイム:5時間5分/日帰り)
ケロケロさん(読者レポーター)
散歩をするように山を歩いて、木々や草花の折々の姿や、生き物との偶然の出会いを楽しみたい。双眼鏡をぶらさげて、関東近郊の山をのんびり歩いています。
プロフィール
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