奥多摩の御前山で日帰り登山。サルの群れにも遭遇

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読者レポーターより登山レポをお届けします。ケロケロさんは夏山トレーニングに奥多摩の御前山(ごぜんやま)へ。

文・写真=ケロケロさん


夏山へ向けて、そろそろ少し標高差のあるところを登っておこうと、奥多摩三山の一つ、御前山(1405m)を歩いてきました。

御前山なら尾根伝いの樹林帯歩きで、多少の雨に降られても大丈夫そう。境橋へ降りれば車道歩きだから、傘を差して歩くこともできるだろう。そう思って折り畳み傘を荷物に入れましたが、当日はお天気に恵まれて、終始快適に歩くことができました。

奥多摩湖バス停から小河内(おごうち)ダムを渡って登山口へ。湖畔の東屋には、毎年多数のイワツバメが営巣していて、ヒナの愛らしい様子をチェックするのも楽しみのひとつ。イワツバメが泥で作った巣に枯草を足してリノベーションしているのはスズメです。奥多摩湖に浮かぶブイにはカワウが並んで羽を乾かしていました。

奥多摩湖畔の東屋で育つイワツバメのヒナ
奥多摩湖畔の東屋で育つイワツバメのヒナ

登山口からいきなり急登が始まります。大ブナ尾根はおそらく最も一般的な御前山へのコースですが、なかなかどうして、登り応えがあると思います。登りのコースタイムはおよそ3時間。先は長いので、あせらずゆっくり登っていきます。20分ほど急登を我慢すると、道はいったん緩みました。

奥多摩御前山・緑の濃い大ブナ尾根を登ってゆく
緑の濃い大ブナ尾根を登ってゆく

顔を上げると、木々の葉の隙間から日の光が透けてきれい。ブナやカエデやシデ、ミズナラといった落葉広葉樹の濃い緑が美しく、森の奥からはキビタキやゴジュウカラ、ヒガラなどの声が飛び交ってにぎやかでした。サス沢山まで、さらに登っていきます。

奥多摩御前山・サス沢山の展望デッキから
サス沢山の展望デッキから。奥多摩湖の向こうに大菩薩嶺、鶏冠山など奥秩父の山々を望む

サス沢山の展望デッキはベンチもあって一息つけるポイント。景色が開けると気持ちいい! いい風が通って涼しく、木陰で小休止して、おにぎりを一つ食べました。

サス沢山からしばし緩やかな森の道を楽しんだあと、再び長い登りが始まりました。急登というほどではないけれど、がんばりどころです。バイケイソウの群生地を見ながら、ザレ気味の道をジグザグに登るところからが最後の急登。息を切らせて登り切ると、惣岳山(そうがくさん)に到着です。

やれやれ、やっとたどり着いた、今日もよく登ったわー、と自分をほめながら、空いたベンチに座り込みました。ここで1本目のペットボトルがちょうど空になり、結構水分を失っていたことを知ります。この日は3本持っていき、2本を空にしました。惣岳山からは整備された遊歩道のような道を20分ほど登れば、御前山山頂です。

奥多摩御前山・御前山山頂から石尾根を望む
御前山山頂から石尾根を望む。背後に長沢背稜

御前山山頂はちょうどお昼時で、いくつもあるベンチがすべて埋まっていました。木陰の適当な場所に腰を下ろし、2個目のおにぎりで小休止。虫がうるさく、持参の虫よけスプレーを使いました。これからの時期は必需品ですね。

奥多摩御前山・コアジサイの花
コアジサイの花

山頂から奥多摩駅方面へ。エゾハルゼミの声がシャワーのように降り注ぐなか、新しい木の階段をどんどん降りていきます。御前山避難小屋を過ぎ、体験の森に入ると、サワグルミやトチノキ、沢沿いにはヒメウツギの白い花が目に入ります。途中出合ったカツラの巨木の美しさには圧倒されました。

奥多摩御前山・カツラの巨木
カツラの巨木。体験の森で

トチノキ広場で最後の小休止。ここからはずっと車道歩きです。車道を歩いていると、丸い花弁を5つつけた白い花がたくさん落ちていました。見上げると、マタタビの花が満開。

奥多摩御前山・マタタビの花
マタタビの花

道路脇からはヤマアジサイが顔を出していました。

奥多摩御前山・ヤマアジサイ
ヤマアジサイ

栃寄森の家にさしかかった時、道の左右からサルがわらわらと現われました。群れで食事中だった様子で、道端の桑の木の中には5~6匹もいました。私の姿を見て、しぶしぶといった感じで山側へ逃げていきます。20匹くらいはいたでしょうか、多くは子連れでした。

奥多摩御前山・サルの群れ
奥多摩御前山・サルの群れ
奥多摩御前山・サルの群れ
サルの群れ

そういえばクマ鈴を出すのを忘れていました。出たのがサルでよかったけれど、クマもいるだろうから慌ててクマ鈴を装着。

サルの群れをやり過ごしたあとは順調に車道を下り、ユキノシタやキツリフネなど咲いている花を楽しみながら歩いて、境橋のバス停へゴールしました。

(山行日程=2024年6月22日)

MAP&DATA

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コース

奥多摩湖バス停~サス沢山~御前山~トチノキ広場~栃寄森の家~境橋バス停(参考コースタイム:5時間25分)

ケロケロさん(読者レポーター)

ケロケロさん(読者レポーター)

散歩をするように山を歩いて、木々や草花の折々の姿や、生き物との偶然の出会いを楽しみたい。双眼鏡をぶらさげて、関東近郊の山をのんびり歩いています。

この記事に登場する山

東京都 / 奥多摩

御前山 標高 1,405m

 早春、カタクリの花が咲き、それを見に訪れる登山者の多い山で、大岳山、三頭山とともに奥多摩を代表する山である。  北側の栃寄(とちより)の近くに森林公園がある。一帯は観光客によるカタクリその他の野草の乱掘が気になる。ここも自然災害により三頭山の二の舞にならなければよいが。  さて、この山へは北面から登っていくのが人気だ。山頂近くになると雑木林の下生えにピンク色に咲くカタクリの花の群れが見られる。御前山山頂からは展望は余りよくないが、下山路を南方の湯久保(ゆくぼ)尾根へと下ってゆくと、丹沢方面の山々が見えてくる。すぐ眼前の山稜は浅間(せんげん)尾根で、春は浅間嶺一帯の桜が美しい所である。  奥多摩駅で下車、境橋から御前山山頂、湯久保ノ頭から北秋川へ下り、武蔵五日市駅まで約5時間の行程。

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