濡れている木道や石の上を歩く場合は気を抜かずに足を置きましょう 島崎三歩の「山岳通信」 第350号

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長野県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。第350号では、木製の橋で足を滑らせた遭難事故について言及。注意するポイントでは、気を抜かずに歩くことを説いている。

7月12日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第350号では、期間中に起きた5件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 7月10日(水)、木曽郡南木曽町田立の田立の滝付近で、20人パーティで入山した60歳の女性が、南木曽町の田立の滝付近を登山中に木製の橋で足を滑らせて川に転落、負傷した。

  • 7月13日(土)、北アルプスの蝶ヶ岳で、15人パーティで入山した73歳の男性が、北アルプス蝶ヶ岳を登山中に階段でバランスを崩して転倒、負傷した。

  • 7月14日(日)、八ヶ岳連峰の蓼科山で、2人パーティで入山した68歳の男性が、蓼科山から下山中に足を滑らせて滑落、負傷した。

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

南木曽町田立の滝付近で発生した山岳遭難は、木製の橋で足を滑らせ、バランスを崩して転落、骨折を伴う重傷を負いました。今回の遭難のように、木製の橋や木道が設置されているルートは県内で多く見られ、本格的な登山エリアに限らず、登山口に至るまでの間や山小屋の近くなど気を抜きやすい場所にもあります。
梅雨が明けていないこの時期は注意が必要ですし、梅雨が明けても

  • 雨が降っている
  • 霧が出ている
  • 前日に雨が降った
  • 苔が生えている
  • 日が当たらない
  • 沢の近くを通るとき

などは「濡れているかな」「滑りやすいかな」と注意するポイントなので、気をつけて通過しましょう!

また、蓼科山や蝶ヶ岳は、それぞれグレーディングでは、2B(蓼科山)4B(蝶ヶ岳)で雑誌やインターネット上では、初心者向けの山として紹介されることが多いですが、人気が高い一方で遭難が頻発する山域でもあります。木製の階段や岩場などの不安定な場所を歩く場面が多いので、平地のウォーキングだけではなく、低山歩き、体幹トレーニングなどを取り入れて、バランス感覚を磨いていきましょう!

夏山シーズンとなりましたが、『信州山のグレーディング』を参考にし、自身や仲間の体力・技術に見合った山選びをして、登山を楽しみましょう!
https://www.pref.nagano.lg.jp/kankoki/sangyo/kanko/gure-dexingu.html

 

TOPICS

■焼岳の登山について(火山活動に関する情報)

焼岳では、山頂付近を震源とする火山性地震の回数が減少していることから、噴火警戒レベルを引き上げる可能性は低くなっています。このため、気象庁は令和6年7月17日、一連の火山の状況に関する解説情報(臨時)の発表を終了しました。
現在の噴火警戒レベルは1「活火山であることに留意」です。

■“はじめての夏山登山” 、“岩場での歩き方” YouTube動画を公開中!

登山初心者の遭難が増えています。動画では、初心者が安全登山を実践するうえで重要なポイントを説明しています。また、遭難の多い岩稜地帯での対処法についても、『岩場での歩き方(岩場に適した服装)』『岩場での歩き方(登り方)』『岩場での歩き方(下り方)』に分けて、詳しく解説しています。計画の前にぜひ活用してください(長野県山岳総合センターと協同で制作)。
⇒ 動画はこちら

■今年の“Safety Book夏山編”が完成しました

槍穂高連峰、後立山連峰、八ヶ岳連峰、南アルプス、中央アルプス、御岳山など各山域の最新情報を盛り込んだ登山者必見の資料です。安全登山の参考にご活用ください。
⇒ Safety Book夏山編

■主要山域の登山口に“登山相談所”が開設されます

各山域の主要登山口に「登山相談所」が開設されます。遭対協の隊員らが登山者の相談に応じたり、積極的な声掛けを行ったりします。
⇒ 登山相談所 開設情報

■“日本百名山グレーディング”を更新しました

グレーディングを公表している10県2山域からルートを抜粋、日本百名山の登山ルートグレーディングを作成しました。日本百名山のうち、68山、210ルートをグレーディング評価しています。
⇒ 信州 山のグレーディング

■本格的な夏山シーズンを前に各山域の最新の情報をHPなどで確認してください

◎中央アルプス駒ヶ岳ロープウェイは7月20日(土)の運行再開を予定しています。 
https://x.gd/QW89Z

◎白馬大雪渓は崩落の危険があるため、7月4日(木)から通行止めが続いています。 
https://www.vill.hakuba.nagano.jp/news/2698/

■“ガチなが”  信州の山小屋応援・山岳遭難防止対策プロジェクト2024募集開始

山小屋は、安全安心な登山環境の維持、登山者の憩いの場づくりに努めています。長野県遭対協は、登山者の安全を見守り、遭難者の救助活動にも尽力しています。信州の山岳を守るため、温かいご支援をお願いします。 
⇒共創型ふるさと納税受付サイト「ガチなが」

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

⇒バックナンバーはコチラ!

島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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