山梨県が富士登山の「通行予約システム」を導入。通行料2,000円も事前決済で

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コロナ禍をへて、再びにぎわいを取り戻した富士山。2024年の富士登山シーズンに向けて、山梨県は5月13日に「山梨県富士山吉田ルート通行予約システム」の導入を発表した。これは、7月1日に開山する吉田ルートの通行予約と通行料2,000円(県条例に基づく義務)、協力金1,000円(任意)の事前決済を行なうウェブサービスで、5月20日午前10時から予約受付を開始する。

山梨県は、24年の吉田ルートの登山者数の上限を4000人に限定。吉田ルート五合目登山道にゲートを設置し、16時〜3時の夜間通行を規制(山小屋予約者は除外)し、オーバーユースや弾丸登山によるトラブルを予防する構えだ。

吉田ルートから富士山に登る場合は、事前に「通行予約システム」で予約と通行料(および協力金)の事前決済をしておき、当日は五合目のゲートでQRコード認証を行なって入山する。

山小屋の宿泊予約をした場合は通行予約不要で、山小屋予約時の予約完了メールなどを提示すれば通行できる。ただし、現地での通行料納付で時間をとられることも予想されるので、通行予約と事前決済をしておくとスムーズに入山できるという。なお、事前の通行予約をしていない人を想定した当日枠は1000人分あるが、先着順なので早めの到着が必要になる。24年の登山規制の詳細は「富士登山オフィシャルサイト」を参照のこと。

静岡県側でも夜間登山を抑制するため、須走・御殿場・富士宮の各ルートで16時以降に入山する登山者に対し、山小屋宿泊予約の確認をする予定。通行料はないが、山梨県側同様に1,000円の協力金(任意)が設定されている。

関連リンク

富士登山オフィシャルサイト
https://www.fujisan-climb.jp/

この記事に登場する山

山梨県 静岡県 / 富士山とその周辺

富士山・剣ヶ峰 標高 3,776m

 日本の山岳中、群を抜いた高さを誇る富士山は、典型的なコニーデ式火山。いずれの方向から眺めても円錐形の均整のとれた姿は美しく、年間を通して人々の目を楽しませてくれる。東海道本線や新幹線の車窓から見ると、右手に宝永山、左手には荒々しい剣ガ峰大沢が望め、初めて見る人の心を奪う。  昔は白装束姿で富士宮の浅間(せんげん)神社から、3日も4日もかけて歩き通したという話を古老から聞いたことがある。現在では、富士宮と御殿場を富士山スカイラインが結び、途中からさらに標高2400m辺りまで支線が延びているので、労せずして雲上の人になれる手近な山となった。  日本で一番高い山、美しい山であれば、一生に一度は登ってみたい願望は誰にでもある。7月、8月の2カ月間が富士登山の時期に当たり、7月1日をお山開き、8月31日を山じまいと呼ぶ。  山小屋や石室が営業を始めると、日本各地や外国の人々も3776mの山頂を目指して集まってくる。特に学校が夏休みに入り、梅雨が明けたころから8月の旧盆までは、老若男女が連日押し寄せ、お山は満員となり、登山道は渋滞し、山小屋からは人があふれる。  富士宮口から登ろうとする場合は東海道新幹線の新富士駅、三島駅などからの登山バスで五合目まで行き、自分の足で山頂へ向けて歩きだすことになる。山梨県側には吉田口があり、東京方面からの登山者が多い。  目の前にそびえる富士山はすぐそこに見えるため、山の未経験者は始めからスピードを出しすぎ、7合目か8合目付近でたいていバテてしまう。登り一辺倒の富士山は始めから最後まで、ゆっくり過ぎるほどのペースで歩くことがコツである。新6合から宝永火口へ行く巻き道が御中道コースで、標高2300mから2500mを上下しながら富士山の中腹を1周することができたが、剣ガ峰大沢の崩壊で通行不能になっている。  山慣れたパーティならば新6合から左に入り、赤ペンキや踏み跡を拾いながら、いくつもの沢を渡り3時間もかければ大沢まで行くことができる。辺りは樹林帯で、シャクナゲの群落やクルマユリやシオガマなどの高山植物が咲く。  9合目右側の深い沢に残る万年雪は、山麓からも見ることができる。富士宮口を登りつめると正面に浅間神社奥ノ院がある。隣は郵便局。もうひとふんばりすると、最高地点の剣ヶ峰。山頂にはかつては毎日データを送り続けていた気象観測所跡が残っている。天候に恵まれたならば噴火口の周囲を歩く御鉢巡りが楽しめる。

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