富士登山、なにを着る? なにを持っていく? 登山ガイドが教えます
富士登山に必要なウェアや道具について、登山ガイドが解説する。
文=吉澤英晃、写真=中村英史
保温着として冬山用のジャケットが必要?
夏山向きの軽量なウェアで充分です
![富士山に登るウェア・ギア](https://www.yamakei-online.com/new_images/yama-ya/article/2024_06/20240606_fuji_wear08.jpg)
保温着はダウンや化繊綿が寒さを防ぐ層になり体温低下を防ぐ。ミッドレイヤーと違い、休憩中など主に行動していないときに着る。富士山山頂の平均気温が東京や大阪の12月と変わらないことを考えると、冬用のボリュームがある保温着が必要と思うかもしれないが、基本的には夏山向きの軽量モデルで充分。足りない保温性はミッドレイヤーやアウターレイヤーで補える。かつてはフリースも保温着に選ばれていたが、保温性が高いものはかさばり重たくなるので、今はダウンか化繊綿を封入したものが一般的。フードの有り無しはミッドレイヤーとの兼ね合いで検討しよう。
夏山向きのダウンジャケットは小さく収納できる。化繊綿タイプも最近は小型・軽量化が進んでいる。大きなバックパックがいらなくなるので、全体の軽量化にもつながる。
![富士山に登るウェア・ギア](https://www.yamakei-online.com/new_images/yama-ya/article/2024_06/20240606_fuji_wear09.jpg)
これから用意するのであれば、汗で濡れても保温性が著しく低下しない化繊綿タイプを検討してもいいだろう。本来の保温性を維持しながら着たまま行動することもできる。
アウターレイヤーは登山用ならどれを選んでもいい?
生地が丈夫なものがベター
![富士山に登るウェア・ギア](https://www.yamakei-online.com/new_images/yama-ya/article/2024_06/20240606_fuji_wear10.jpg)
アウターレイヤーは雨や霧で衣服を濡らさないために、いちばん上に羽織る。防風性もあり風による体温低下も防げる。透湿性があるものを選ぶ。アウターレイヤーには必ず防水透湿性がある上下セパレートのレインウェアを選ぶこと。登山用のモデルなら、基本、この条件をクリアしている。透湿性がないビニールガッパを着ると、内側に生じる湿気でウェアが濡れてしまう。最近は薄手の生地を使う軽量モデルも増えてきたが、耐久性にやや難がある。長く使い続けることを考えると、生地にそこそこの厚みがある、丈夫なものを選んだほうがいいだろう。
雨を防ぐウェアのなかには「ポンチョ」と呼ばれる上からかぶるだけのアイテムもあるが、足元からも雨や風が吹き込むことが考えられるのでなるべく避けたほうがいい。
軽量化を意識したモデルにはファスナーで正面が完全に開かないアノラックタイプも存在するが、着脱のしやすさを考えると、ジャケットタイプのほうが使い勝手に優れる。
ロングパンツが無難ですか?
ジップオフタイプがイチオシです
![富士山に登るウェア・ギア](https://www.yamakei-online.com/new_images/yama-ya/article/2024_06/20240606_fuji_wear11.jpg)
パンツは生地に速乾性があり、ストレッチ性の高いものをチョイス。寒い夜間に行動するときは、パンツの下にタイツをはく。日中、汗ばむ気温のなかで行動することを考えると、ショートパンツにもなるジップオフタイプを選んだほうが体温を調節しやすい。ただし、ショートパンツだけだと下にタイツをはいても寒い場合があるので注意すること。2日目、頂上で御来光を見るときはロングパンツの下にタイツをはいて出発する。雪山登山に選ばれるような生地の厚いタイツは必要なく、薄手か中厚手で充分。寒ければアウターレイヤーのパンツを重ねる。
コットンが含まれているジーンズやチノパンなどは適さない。ベースレイヤーと同様に、汗で濡れて重くなるばかりか、乾きにくいので低体温症の原因となってしまう。
頂上直下には大きな段差を越える箇所が現われるので、ひざを曲げ伸ばししやすいストレッチ性があるモデルを選んだほうがいい。試着するときは伸縮性をチェックしよう。
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