房総の低山と侮れない。高宕山で冒険心をかきたてる山歩きを楽しむ

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百低山の一つとしてテレビでも放映された千葉県・房総半島にそびえる高宕山(たかごやま)。ニホンザルの生息地としても有名です。標高330mながら、奥深い山容と眺望にすぐれた尾根道を巡る、冒険心をくすぐる山歩きを楽しむコースです。

文・写真=奥谷 晶

石射太郎(いしいたろう)登山口より出発。通行止めになっているトンネルの横の階段を上ります。

石射太郎山登山口

石射太郎山の山頂に立つと標高240mとは思えない眺望が広がります。房総の山並みと晴れていれば富士山も見えるようです。めざす高宕山への稜線が続きます。

明るく眺望の良い尾根道
明るく眺望のよい尾根道

気持ちのよい尾根道を進むと、高宕観音への階段が出てきます。山腹の岩山になかば食い込んだようなお堂が見えてきます。

高宕観音へ続く石の階段
高宕観音へ続く石の階段
岩山に食い込んだ高宕観音のお堂
岩山に食い込んだ高宕観音のお堂

観音堂の先の岩場の狭く細いトンネルを抜けると、高宕山山頂下分岐を経て山頂です。山頂付近は岩場の急登が続きます。高宕山の山頂からも、房総丘陵の展望が見渡せます。分岐から高宕大滝方面への階段を下っていくと、高宕山大滝を経て、元の登山口へ戻る林道に出ます。

狭い石の穴をくぐると頂上へ
高宕山頂上からの眺望
高宕山頂上からの眺望

高宕山へはほかにも八良塚とつなぐ周回路など、複数の登山コースがありますが、房総の山々の特徴で不明瞭な踏み跡や作業道が交錯している上、2019年の台風の影響による土砂崩れや倒木で、登山道が崩れた箇所、通れない箇所があります。迂回路やロープが設置されていますが、道迷いに要注意。慣れた熟達者と同行するか、GPSなどを使える技量を持った人にすすめられます。

関連リンク

MAP&DATA

ヤマタイムで周辺の地図を見る

コースタイム:石射太郎山登山口~石射太郎山~高宕山・往復 :4時間15分

この記事に登場する山

千葉県 / 房総半島

高宕山 標高 330m

 房総半島の山は低山の連なりであるが、海の浸食作用が内部にまで広がっている。そのため、谷が山中深くまで食い込み、複雑な地形を構成している。  高宕山は房総半島の中央部にある山で、一帯は野生のサルの生息地として知られている。高宕山へは北側の法ノ木にある高宕第一隧道の脇から登る。バスの運行はないので上総湊駅からタクシーを利用する。登り着いた地点は尾根上の石射太郎で、ここから高宕山まで起伏のある山稜をたどる。尾根筋の林の間に2基の石造仁王像があり、石段を登った所に巨岩の下に祀られている高後観音がある。山頂はその先の岩の上で、高龗神(たかおかみのかみ)と鉄釜がある。干天にはここで雨乞いをしたと伝えられる。  山頂は南側にある315mのピークを山頂とする説と、330mをピークとする説がある。  山頂から八良塚を経て豊英(とよふざ)へ下り、日東バスで木更津駅に戻るが、バスの本数は少ない。縦走は約4時間30分。

プロフィール

奥谷晶

30代から40代にかけてアルパイン中心の社会人山岳会で本格的登山を学び、山と溪谷社などの山岳ガイドブックの装丁や地図製作にたずさわるとともに、しばらく遠ざかっていた本格的登山を60代から再開。青春時代に残した課題、剱岳源次郎尾根登攀・長治郎谷下降など広い分野で主にソロでの登山活動を続けている。2013年から2019年、週刊ヤマケイの表紙写真などを担当。2019年日本山岳写真協会公募展入選。現在、日本山岳写真協会会員。

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