早出早着、体力に見合ったルート選びなどの基本の徹底で安全登山を 島崎三歩の「山岳通信」 第346号
長野県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。第346号では高妻山で起きた遭難事例を取り上げ、早出早着、体力に見合ったルート選びなどの基本を、しっかりと守った計画・行動を促している。
6月20日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第346号では、期間中に起きた1件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。
- 6月16日(土)、戸隠連峰の高妻山で、単独で入山した66歳の女性が高妻山から下山中に転倒して負傷した。
長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス
6月10日(月)の週に長野県内で発生した山岳遭難は1件でした。
6月15日(土)に発生した戸隠連峰高妻山の遭難は、高妻山から下山中に転倒し、ケガにより、行動不能となったものです。通報時、
- 通報時刻午後5時30分ごろ(他の登山者からの電話)
- 場所標高2200m付近(登山口付近の標高は約1300m)
- 遭難者携帯電話のバッテリー残量0%(予備バッテリーなし)
という状況で、たまたま通りかかった登山者の方がいなければ“救助要請”すらできない状況でした。また、通報時刻が午後5時30分と遅かったため、ヘリ救助も地上救助も翌朝の対応となりました。
高妻山は「信州山のグレーディング」でも「4D」にカテゴリーされ、“1泊以上が適当”とされていますが、「ルート上に宿泊できる小屋やテント場がないため、登山者によっては、日没までに下山できなくなるおそれがある」という注意書きが添えられています。
以上の点を踏まえて、今回の教訓は
- ①早出早着 ・・・・・・(通報時間が遅い)
- ②体力に見合ったルート選び ・・・・・・(体力的にも余裕がない)
- ③予備バッテリーの携行 ・・・・・・(第三者に頼っている)
- ④アルミシートなどビバーク装備の携行 ・・・・・・(低体温症のリスク)
と言えるでしょう。
高妻山は人気の山ですが、前週も死亡遭難があり、グレーディングのレベルは、前穂高岳や赤岳と並びます。それぞれのレベルに合った山選びをして、登山を楽しみましょう!
“山のグレーディング活用セミナー”を開催します!(新潟県)
長野・新潟・山梨・静岡の4県では、連携してさまざまな取り組みを行なう「中央日本四県サミット」を毎年開催しており、その取組のひとつとして、登山の難易度について統一した指標で示した「山のグレーディング」を共同で作成し、各県で公表しました。
各県の山を安全に楽しんでいただくため、次のとおり「新潟 山のグレーディング」を活用したセミナーを開催します(主催:新潟県 協力:中央日本四県サミット)。セミナーの内容は以下のとおりです。
日時: 7月4日(木)
会場: 新潟県自治会館 別館9階コンベンションホールゆきつばき(新潟県新潟市中央区新光町4番地1)
参加方法: 会場参加(60名)/オンライン視聴(Zoom/定員300名)
申し込み: Web申込専用フォームから(郵送やFAXの申込は詳細ページより)
プロフィール
島崎三歩の「山岳通信」
信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。
島崎三歩の「山岳通信」
長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。
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