リスクを伴うコンディションが予想される場合、登山の中止や延期の検討を 島崎三歩の「山岳通信」 第347号

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長野県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。第347号では白馬大雪渓で起きた滑落遭難事例を取り上げ、リスクを伴う登山が予想される場合、登山の中止や延期、出発時間の変更などを検討するよう促している。

 
6月26日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第347号では、期間中に起きた1件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 6月18日(火)、北アルプスの白馬岳で、4人パーティで入山した43歳の男性が白馬岳の大雪渓を登山中に滑落し、死亡した。

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

6月17日の週に、長野県内で発生した山岳遭難は1件でした。

6月18日(火)に北アルプス白馬岳で発生した遭難は、白馬大雪渓を登山中に滑落したものです。白馬大雪渓の上部は、斜度がとてもきつく、ピッケルやアイゼン歩行がしっかりできないと非常に危険です。また、当日の天気は低気圧を伴う前線が通過する影響で、早朝から降水量が多い雨予報となっていました。

このような場合、山では沢や川の増水のほか、霧に覆われることも多く、特に白馬大雪渓では霧に覆われて視界が悪い場合、道迷いのリスクのほか、見えない上部から落石が雪渓上を音もなく落ちてくるため、非常にリスクを伴う登山となります。天気予報で、あらかじめ悪天候が予想される場合、登山の中止や延期、出発時間の変更などの検討をお願いします。

以上の点を踏まえて、入山前にリスク軽減しましょう。

  • 1.大雪渓などの雪渓を通過する場合は、アイゼンやピッケルなどを正しく使いこなす
  • 2.事前に天気予報を確認、悪天候が予想される場合は入山を控える
  • 3.白馬大雪渓は視界不良の場合、道迷いのリスクが高くなるため、地図アプリなどを活用
  • 4.雪渓上の落石は音もなく落ちてくるため、視界不良時は特に注意

白馬岳は人気の山ですが、『信州山のグレーディング』のレベルは、前穂高岳や赤岳と並びます。それぞれのレベルに合った山選びをして、登山を楽しみましょう!

 

「北アルプス安全登山アピール2024」を開催します!

長野県・富山県・岐阜県では、連携して北アルプス地域の安全啓発活動に取り組んでいます。本格的な夏山シーズンを前に、今年も北アルプスでの遭難事例や山岳遭難救助隊員らによる安全登山のための注意事項等を紹介するセミナーを開催します。北アルプスへの登山を予定している首都圏の皆様の参加をお待ちしています。東京会場、WEB会場ともに無料で参加できます。

日時: 7月6日(土)13時30分~15時30分
会場: インプレスグループセミナールーム (要予約)
   (東京都千代田区神田神保町1-105 神保町三井ビルディング23階)
   Web:YouTubeによるライブ配信 (予約不要)
申し込み: 会場参加は、イベント詳細ページから申し込む

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

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島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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