実は温泉天国! 北アルプスの極楽スポット【山と溪谷2024年6月号特集より】
雑誌『山と溪谷』2024年6月号の特集は「アルプス名ルート100」。日本アルプスの名ルートを100本、編集部が厳選。アルプスビギナーがまずはめざしたい名ルートから、ベテランにおすすめしたい通好みのルートまでテーマ別に紹介している。特集ページから、北アルプスの温泉を紹介したページを見てみよう。
湯俣温泉(ゆまたおんせん)。天然温泉の湯けむり河原
槍ヶ岳(やりがたけ)の伝統登路、表銀座と裏銀座が挟む谷を流れるのが高瀬川(たかせがわ)。その上流、湯俣川と水俣川(みずまたがわ)合流部付近に湯けむりを上げる湯俣温泉。ここを起点に湯俣岳を経由して野口五郎岳(のぐちごろうだけ)・水晶岳(すいしょうだけ)をめざす竹村新道や、湯俣川を遡り、三俣山荘(みつまたさんそう)をめざす伊藤新道が延びている。高瀬川左岸側には晴嵐荘(せいらんそう)、右岸側には湯俣山荘が立つ。内湯があるのは晴嵐荘。湯俣川を少し遡った左岸側には天然記念物の「噴湯丘」(ふんとうきゅう)が立つ。河原沿いに湧く野湯も楽しみだ。
(写真・文=三宅 岳)
蓮華温泉(れんげおんせん)。白馬岳、朝日岳の登山の拠点
中部山岳国立公園内の標高1475m付近にある天然温泉で、新潟県側から白馬岳(しろうまだけ、はくばだけ)や朝日岳(あさひだけ)をめざす登山者たちの拠点にもなっている。戦国武将・上杉謙信が見つけたとの由来をもつ。白馬岳蓮華温泉ロッジの裏手から登山道を登ると、「黄金湯」「三国一の湯」「仙気の湯」「薬師湯」と4つの野天風呂があり、特に「仙気の湯」は正面に朝日岳と五輪山が見渡せる開放感がすばらしい。
(写真・文=菊池哲男)
鑓温泉(やりおんせん)。鑓ヶ岳の山腹にある露天風呂
白馬鑓(はくばやり)温泉小屋が季節営業している、一軒宿の秘湯。例年7月上旬から9月下旬の営業で、期間外は雪崩を避けるため建物は解体される。内湯はなく、開放感のある混浴露天風呂と、回りを壁で囲まれた女性専用風呂がある。江戸時代から猟師などに知られ、1876(明治9)年には湯元から麓に引湯する工事が行なわれたが、雪崩で犠牲者を出し中止された。白馬三山とからめて歩くとよい。
(写真・文=菊池哲男)
みくりが池温泉。地獄の熱に癒やされる
標高2410m、ミクリガ池畔にあるこの温泉は、日本一高所にある天然温泉として知られる。室堂(むろどう)ターミナルから遊歩道をたどってアクセスできるので、登山者のみならず観光客にも人気が高い。立山三山(たてやまさんざん)や剱岳(つるぎだけ)、大日岳(だいにちだけ)方面への登山と組み合わせて楽しむことが可能。のんびり宿泊も楽しいが、もちろん日帰り入浴もおすすめだ。地獄谷から引かれたお湯に浸かって、立山を肌で味わいたい。
(写真・文=星野秀樹)
高天原温泉(たかまがはらおんせん)。はるばるアルプスの奥座敷
北アルプスでも秘境中の秘境、高天原にある温泉。温泉沢(おんせんざわ)の出合には野趣あふれる露天風呂と、女性用の囲いのある「からまつ美人の湯」がある。アプローチとしては、薬師沢(やくしざわ)から大東新道(だいとうしんどう)、雲ノ平(くものだいら)経由などが一般的。大東新道は滑りやすい急斜面が続くので要注意。ほかには水晶(すいしょう)小屋方面から、岩苔小谷(いわこけこたに)や温泉沢沿いに下るルートもある。温泉沢は迷いやすい箇所があるので注意を。
(写真・文=星野秀樹)
山と溪谷2024年6月号
特集「アルプス名ルート100」
発行 | 山と溪谷社 |
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価格 | 1,430円(税込) |
雑誌『山と溪谷』特集より
1930年創刊の登山雑誌『山と溪谷』の最新号から、秀逸な特集記事を抜粋してお届けします。
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