暑さ知らずの夏山登山って可能? 快適に歩くためのヒント8

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『山と溪谷』2024年7月号の特集は「夏の日帰り名山」。ショートタイムで楽しめる全国の名山を網羅したコースガイド特集の中から、暑い季節でも快適に登山を楽しむためのヒントを紹介しよう。

文=小林千穂、イラスト=吉實 恵


全国「暑いのが日本の夏」とはいえ、登山時の不快な暑さは避けたいもの。ここでは涼しく楽しめる山の要素を紹介。

花自体が涼しさを与えてくれるわけではないけれど、癒やされ効果は抜群。特に花好きにとっては登山のモチベーションを大きくアップしてくれる。夏にしか出会えない花を目的にプランニングするのもおすすめ。

高原

標高が高くて傾斜が少ない高原を、景色や植物を眺めながらゆったり散策。そよそよと渡る風に吹かれれば汗もひくだろう。ただし、牧場跡などは日陰がないところが多いので、晴天時は強い日差しに注意して。

風穴・洞窟

猛暑時も岩などの隙間から冷風が吹き出す不思議スポット・風穴。外気温の影響を受けづらく、四季を通じて一定の温度を保つ洞窟。天然のクールスポットを訪ね、エアコンとは違う涼やかさを体感してみてはいかが?

温泉

たっぷり汗をかいても、下山後に温泉が待っていると思えば、暑い日の登山だって割り切れるかも。山で適度に体を動かしたら、温泉でスッキリ汗を流して着替えもし、気分爽快。リフレッシュしてから帰宅しよう。

朝駆け・夕暮れ

「朝駆け」は九州発祥の登山文化で早朝の時間帯に登ること。日中の暑さを避けられるだけでなく、日の出前後の景色を見られる利点も。今回は夜景を楽しむ夕暮れ登山も紹介。朝夕の行動リスクを理解して出かけてほしい。

乗り物

ロープウェイやリフトに乗って、涼しい山の中腹まで楽々入山。乗り物利用で体力をセーブしつつ、手軽に夏の山を楽しもう。ここでは道路が通じていて、バスやマイカーなどで高所までアクセスできる山も含めている。

雪渓

北海道や東北など北の地域には、夏でも豊富な残雪を抱く山がある。コースによっては雪渓上を歩けて、暑さ知らずの体験ができるところも。山肌に残る雪を見たり、足元の雪に触れたりして下界の暑さを一気に忘れよう。

水辺

渓流のせせらぎや湿原を見ながら歩いたり、小さな沢を徒渉したり、滝のミストを浴びたり。海岸歩きを含めて、いろいろな「水」を感じられるコースをピックアップした。夏こそ楽しみたい、涼感あふれる水辺の登山道。

特集では、これらの魅力を体感できる山々を全国からセレクトして紹介している。

『山と溪谷』2024年7月号より転載)

プロフィール

小林 千穂(こばやし ちほ)

山岳ライター。山好きの父の影響で子どものころに山登りをはじめ、里山歩きから雪山、海外遠征まで幅広く登山を楽しむ。山小屋従業員、山岳写真家のアシスタントを経て、フリーのライター・編集者として活動している。著者に『DVD登山ガイド穂高』(山と溪谷社)、『失敗しない山登り』(講談社)などがある。日本山岳ガイド協会認定、登山ガイド。

雑誌『山と溪谷』特集より

1930年創刊の登山雑誌『山と溪谷』の最新号から、秀逸な特集記事を抜粋してお届けします。

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