富士山展望の岩殿山。ツタの絡まる駅前のカフェでランチ
山頂からの富士山の展望、スリルのある岩場。駅から周回できる気軽さも魅力の岩殿山(いわどのさん)。下山後は駅前のレトロなカフェで電車を待ちながら一息。
写真・文=西野淑子
中央道からも、JR中央本線からも眺められる、つるりとした岩肌がよく目立つ山、岩殿山。標高が東京スカイツリーと同じことや、山頂に山城の跡があることもよく知られている。富士山の展望がすばらしく、山梨県大月市が選定する「秀麗富嶽十二景」のひとつでもある。
登山を始めたころに登り、富士山の展望や、岩場登りの楽しさですっかりはまった岩殿山に、久しぶりに足を運んだ。かつては大月駅からほぼ舗装路歩きで1時間ほどで山頂にたどり着けたのだが、今、そのルートは歩くことができず、山をぐるりと回り込み、畑倉登山口から歩く。心地よい樹林歩きで山頂にたどり着き、すばらしい富士山の眺めに感動。岩場はこんなに悪かったかな・・・と思いつつ、楽しく歩いて大月駅をめざした。
モデルコース:岩殿山~天神山
コースタイム:大月駅(1時間)畑倉ルート登山口(40分)岩殿山(1時間10分)天神山(25分)稚児落とし(50分)浅利公民館前バス停(30分)大月駅 合計4時間35分
卵とソースの彩り鮮やか、懐かしい味わいのオムライス
大月駅に戻ってきたのは昼過ぎ。遅めのお昼にしよう。
駅前のロータリーを囲むように店が点在しているが、いつも足が向いてしまうのは、ツタのからまる洋館、「月cafe」だ。お店の建物は駅の目の前、改札前の時刻表で電車の時間を確認し、店に向かう。
ツタのからまる洋館、登山の後に入っても大丈夫だろうかと最初のころは思っていたが、今は迷わずお店に入る。店内は明るい雰囲気で、入ってすぐがテーブル席、奥がカウンター席。テーブル席のほうはちょっと昭和っぽい喫茶店の雰囲気。カウンター席はちょっとバーのような、エキゾチックな雰囲気。今回はひとりなので、カウンター席に案内された。
駅前のお店なので、お客さんの層もいろいろだ。出張中のビジネスマンらしき人、観光客、常連客とおぼしき人たちはだいぶラフな格好をしているから地元の人なのかな。小さめのザックを背負った登山ウェアの人はどこを歩いてきたんだろうか。みな心地良さそうに一息ついている。
ランチメニューは5種類。スパゲティやカレーなどがあるが、毎度オーダーするのはオムライスプレートだ。たまにはほかのものを食べたい・・・と思うものの、「気付けばいつも同じものを頼んでしまう」のが私の性なのだから仕方ない。ランチをオーダーすると少しお得な値段になるコーヒーもお願いした。
思っていたより汗をかいていた。水を一気に飲み、セットのスープも飲んでちょっと落ち着いた。カウンター席に座ると、ついつい並びの人たちが何を食べているのか見てしまう。あまりじろじろ見ては失礼だからそっと見るだけ。同じオムライスを味わっている人を見つけて、にやりとしてしまった。どこからかカレーのいい匂いがしてくる。ああ、下山後はカレーも効くよねえ。
さほど待たずにオムライスプレート登場。
このお店のオムライスは、ご飯の上にとろとろ・ふわふわの卵が乗っているタイプ。鮮やかな黄色の卵に、やや茶色がかった赤いソースがかかっている。たっぷり生野菜が添えられているのもうれしい限りだ。卵とソースをすくって一口。ご飯は昔懐かしい感じのケチャップライス。ソースはコクのあるデミグラスソースだ。卵とご飯、ソースの味わいのバランスがいい。
薄焼きの卵でご飯を巻いたラグビーボール型のオムライスが好きだけど、ご飯に卵が乗っているタイプもいいよねえ。このお店のオムライスの卵のとろとろ加減が、個人的にはちょうどよくて好きなのだ。つけあわせの野菜のシャキシャキ感もまたたまらないね。
食べ終えたら、ちょうどよいタイミングでコーヒーが提供された。ありがたいなあ。お腹に余力があればケーキもオーダーしちゃおうかなと思っていたけど、さすがにそれは無理だった。
お腹いっぱい、ごちそうさまでした。今日もおいしかったです。
いつも昼下がりに来てオムライスをいただいているけれど、このお店は朝から営業していてモーニングが人気なのだとよく聞くし、ディナータイムも心地よさそう。いつか「いつもと違う時間」に来ようと思っているものの、いつになることやら。
月cafe
大月駅前に立つ瀟洒な洋館のカフェ。電車の待ち時間、ゆったりとした店内で食事や喫茶が楽しめる。モーニングセットも人気。
電話 | 0554-23-2323 |
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住所 | 山梨県大月市大月1-3-20 |
アクセス | JR中央本線大月駅からすぐ |
プロフィール
西野 淑子(登山ガイド・フリーライター)
初心者向け登山ガイドブックや山岳雑誌などで取材・執筆を行なうフリーライターで、登山ガイドの資格を持つ。関東近郊を中心に低山歩きから沢登り、雪山登山まで楽しむオールラウンダー。気の合う仲間と山を歩き、下山後においしいものでお腹と心を満たすことに無上の喜びを感じている。
下山メシのよろこび
登山後、すなわち下山後の楽しみの一つが、山麓にあるグルメ。ご当地の名物料理もあれば、鄙びた駅前に立つ小さな食堂で出す普通の料理まで、その楽しみは幅広い。 登山ガイド・フリーライターの西野淑子が下山後に味わった数々のとっておきのお楽しみを紹介する。