健脚なら日帰り可能! 北アルプス登山をショートタイムで楽しもう
北アルプスといえば、3000m前後の稜線がどこまでも連なるエリアとあって、登山には何日もかかる——と思われがち。しかし、一定の体力があれば、ショートタイムで登れるコースもたくさんある。長い休みが取れなくても、山小屋の予約が取れなくても日帰りで楽しめる、日本アルプスのおすすめコースを紹介しよう。
文=山と溪谷オンライン、トップ写真=黒スコット(唐松岳・朝の八方池から望む白馬三山)
8時間歩ければ、北アルプスも日帰りできる
標高2000~3000mの稜線を長く連ねた北アルプス。麓からの標高差が大きいので、1泊2日以上で登られることが多いが、コースを選べば日帰りできる山もある。ただし、標準タイムで8時間以上歩かなくてはならないコースがほとんどなので、ある程度アルプス登山の経験を積んだ健脚登山者限定といえそうだ。
まず、日帰りの条件として挙げられるのは、アクセスのしやすい山であること。アクセスが不便なエリアでは移動に時間がかかってしまい、登山計画に無理が生じやすいもの。ときにはロープウェイなどの交通機関を利用して高度を稼いでもいい。
日帰りなら、市街地に面した後立山(うしろたてやま)連峰や常念(じょうねん)山脈などがおすすめだ。穂高(ほたか)連峰にも比較的短時間で登れる山があるほか、3000m峰の乗鞍岳(のりくらだけ)もバスで標高を稼げる。
日帰りアルプス登山を計画する際に注意したいことは、適切な中止・撤退の判断だ。気象条件が厳しく、地形も険しいアルプスでは、無理をすると滑落など生死にかかわる大きな事故に直結しやすい。天候の悪化、疲労などで登山を続けるか迷ったときは、いつもより慎重に判断することを心がけよう。
唐松岳(からまつだけ)
2696m
大展望の八方尾根から立山連峰を望む頂へ唐松岳は展望に恵まれた山だ。八方に枝尾根を延ばした八方(はっぽう)尾根は、白馬三山(はくばさんざん)をはじめ、後立山連峰の眺めを楽しみながら歩くことができる。下部に白馬八方尾根スキー場があり、グリーンシーズンもゴンドラ・リフトを乗り継げば、標高1800mまで一気に高度を稼げる。
八方池山荘からはよく整備された尾根道を行く。道迷い防止の巨大なケルンをたどりながら1時間ほど登ると、白馬三山(はくばさんざん)の姿を水面に映す八方池に到着する。池のほとりはハイキングを楽しむ観光客でにぎわうが、ここから上はいよいよ登山者の世界だ。下ノ樺、上ノ樺、丸山と標高を上げていき、稜線に出ると、黒部川の対岸にそそり立つ立山(たてやま)連峰が目に飛び込んでくる。唐松岳頂上山荘から山頂へは20分ほど。山頂で剱岳(つるぎだけ)の勇姿を堪能したら往路を戻ろう。
MAP&DATA
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