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残雪期の権現岳・編笠山へ。のんびりテント泊と晴天の南アルプスの展望を満喫!
読者レポーターより連休の登山レポをお届けします。真鍋 晋さんは、雪が少し残る八ヶ岳の権現岳&編笠山へ。
文・写真=真鍋 晋
かねてより「ゴールデンウィークには八ヶ岳でテント泊をしてみたい」と考えていた。ただ、この季節のテント泊はあまり経験がなく、本格的な雪山装備は避けたかった。そこで事前のリサーチから、比較的雪の少ない青年小屋でテント泊をし、編笠山、権現岳の2座をピストン登頂する案が浮上した。直前のSNSの書き込みでは、テント場に残雪はなく、夜間の最低気温も0℃程度ということだ。手持ちのスリーシーズン用テント、シュラフで充分対応可能であり、念のため保温用のダウンジャケットと凍結時のチェーンスパイクを持参することにした。
朝5時、観音平駐車場に到着。車内でゆっくり朝食をとり、いざ登山道へ。この季節の山道は、肌寒い空気が心地よい。樹林帯での3時間の急登は、少し体力を要する。しかし八ヶ岳らしい、苔むした幻想的な光景を目の当たりにし、つらいはずの急登も楽しむことができた。日向に雪はほとんどないものの、日陰はまだたっぷり雪が残っていた。坂はそれほど急ではなく、ここではチェーンスパイクは装着しなかった。
![残雪期の編笠山・権現岳 日向の登山道](https://www.yamakei-online.com/new_images/yama-ya/article/2024_05/20240509_repo_manabe01.jpg)
![残雪期の編笠山・権現岳 日陰の登山道](https://www.yamakei-online.com/new_images/yama-ya/article/2024_05/20240509_repo_manabe02.jpg)
9時30分青年小屋に到着。日当たりのよい、開けたテント場は、小学校の運動場くらいの広さはあった。早々に受付を済ませ、テントを設営した。まだテントは4、5張だけだったが、夕方にはほぼ満員となった。設営を終えると、アタックザックに持ち替え、昼食前に権現岳山頂をめざすことにした。
権現岳への道のりは、前半が樹林帯、後半が岩稜帯である。樹林帯は残雪も多く、勾配もすこし急であるため、チェーンスパイクを着用した。岩稜帯に出ると、日差しも強くなり、半袖でも汗ばむ陽気となった。正面にそびえたつ、冠雪をたたえた南アルプスの山々が美しい。
![南アルプスの山々](https://www.yamakei-online.com/new_images/yama-ya/article/2024_05/20240509_repo_manabe03.jpg)
ちょっとした岩稜帯をトラバースすると、いよいよ山頂に到着する。山頂はごつごつとした岩稜が連続する、殺伐とした光景である。修験僧の霊場であった往年の姿がしのばれる。
![権現岳山頂](https://www.yamakei-online.com/new_images/yama-ya/article/2024_05/20240509_repo_manabe04.jpg)
山頂は狭く、のんびりするスペースもないため、権現小屋(現在は休業中)まで引き返して、小休止をとることにした。南アルプスの絶景を眺めながら、のんびりとお菓子と飲み物で補給した。13時までには青年小屋に戻り、ランチをいただく。スパイスの効いたビーフカレーはとてもおいしかった。
![権現小屋でのひととき](https://www.yamakei-online.com/new_images/yama-ya/article/2024_05/20240509_repo_manabe05.jpg)
さて、午後はなにをしようか? 今回の山行でのメインは、編笠山から眺めるご来光だった。テント場から編笠山山頂まで30分。初日のうちに下見しておくことにした。直前のSNSの書き込みにチェーンスパイクは不要と書かれており、これを鵜呑みにして、ほぼ手ぶらで出かけてしまった。ところが北面の登山道は日陰が凍結しており、特に下りは難渋した。スパイクなしで下山している人などほとんどおらず、こうした書き込みは鵜呑みにしてはいけないことを肝に銘じた。小屋でビールとつまみを購入し、夕暮れのひと時を楽しんだ。夜の寒さを心配していたが、気づいたら眠っており、シュラフの中は実に温かかった。
![八ヶ岳青年小屋とテント場](https://www.yamakei-online.com/new_images/yama-ya/article/2024_05/20240509_repo_manabe06.jpg)
朝4時30分起床。テント場で迎える5月の朝は、冷気が立ち込めていた。ダウンジャケットを着こみ、いざ編笠山山頂へ。山頂に着くと、突然視界が広がり、眼下には雲海が広がっていた。ほどなくご来光が朝の到来を告げる。幻想的で厳かな時間が過ぎ、しばらくたたずんでいた。
![八ヶ岳・編笠山山頂からのご来光](https://www.yamakei-online.com/new_images/yama-ya/article/2024_05/20240509_repo_manabe07.jpg)
すこし寒くなってきたころ、テント場へと戻る。温かいコーヒーを淹れ、持参したパンでのんびり朝食をとった。今回の山行では、午前中のうちに登山口まで下山する予定にしていた。日が完全に昇り、朝露が乾くのを待ち、テントを撤収した。柔らかな日差しを浴びながら、下る帰路は快適だった。これまで夏の喧騒の中でしか、八ヶ岳には訪れたことがなかったが、残雪のこの時期には、また異なる味わいを満喫することができた。
MAP&DATA
コース
【1日目】観音平~青年小屋~権現岳~青年小屋(参考コースタイム:5時間50分)
【2日目】青年小屋~編笠山~青年小屋~観音平(参考コースタイム:3時間20分)
![真鍋 晋(読者レポーター)](https://www.yamakei-online.com/new_images/yama-ya/article/2024_05/20240509_repo_manabe_prof.jpg)
真鍋 晋(読者レポーター)
普段は現役外科医、週末は登山・トレラン・ジョギング。じっと座っていることが、苦手な性分です。
プロフィール
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山と溪谷オンライン読者レポーター
全国の山と溪谷オンライン読者から選ばれた山好きのレポーター。各地の登山レポやギアレビューを紹介中。
山と溪谷オンライン読者レポート
山と溪谷オンライン読者による、全国各地の登山レポートや、登山道具レビュー。
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