2024年夏の富士山、いよいよ開山

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いよいよ富士山の登山シーズンが始まった。山梨県側の吉田ルートが7月1日に開山したほか、静岡側の須走、御殿場、富士宮ルートは7月10日開山を迎える。登山シーズンイン時点での今年の富士山の状況を確認しておこう。

文=山と溪谷オンライン

山梨県側・吉田ルートは予定通り7月1日開山

4つある富士山の登山ルートのうち、山梨県側の吉田ルートは例年通り7月1日(月)に開山した。同日は強風のためアクセス道の富士スバルラインが9時ごろまで通行止めとなり、登山者も一時足止めされることになったが、その後の復旧により登山者も五合目を次々に出発。通行料納入の証のリストバンドを装着して、山頂をめざした。

2023年7月上旬の吉田ルート山頂鳥居(写真=Y・T さん)
2023年7月上旬の吉田ルート山頂鳥居(写真=Y・T さん)

なお、吉田ルートのメイン登山口となる富士スバルライン五合目へは7月5日(金)18時から9月10日(火)18時までの68日間にわたってマイカー規制が実施されるため、マイカー利用の場合は山麓の富士山パーキングを利用すること。

マイカー規制や公共交通については関連記事を参照。

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吉田ルートでは今シーズンから事前の通行予約を受け付けているほか、下記の通行規制が行われている。

  • 16時~翌日3時の時間帯に登下山道を閉鎖(山小屋の宿泊予約者を除く)
  • 登山者が一日当たり4,000人を超えると登下山道を閉鎖(同)
  • 登下山道の使用料として1人・1回につき2,000円を負担(任意の富士山保全協力金1,000円と合わせて3,000円)

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2023年7月上旬の剣ヶ峰とお鉢(写真=Y・T さん)
2023年7月上旬の剣ヶ峰とお鉢(写真=Y・T さん)

静岡県側の3ルートは7月10日開通

例年山梨県側より遅く開山する静岡県側の須走ルート、御殿場ルート、富士宮ルートについては、7月10日(水)に開山される。6月26日(水)には富士宮ルートの五合目から六合目の区間が開通し、一足早くハイカーに開放された。六合目までの規制解除は、残雪があったため昨年に比べて6日遅かったという。

御殿場ルートから見上げる富士山頂(写真=山が好き! さん)
御殿場ルートから見上げる富士山頂(写真=山が好き! さん)

静岡県側のマイカー規制は須走コース、富士宮ルートで登山シーズン全期間となる7月10日(水)9時~9月10日(火)18時に行なわれる。駐車場は須走多用途広場と水ヶ塚駐車場(富士宮ルート)。御殿場ルートはマイカー規制なし。

静岡県側の3ルートでは、事前登録が呼びかけられている。通行料の設定はないが、任意の保全金制度(1,000円)がある。

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富士登山のシーズンは9月10日までの2カ月間。今夏はこれまでと異なるルールが新設されているので、事前の情報収集をしっかり行なって、安全登山で楽しもう。

この記事に登場する山

山梨県 静岡県 / 富士山とその周辺

富士山・剣ヶ峰 標高 3,776m

 日本の山岳中、群を抜いた高さを誇る富士山は、典型的なコニーデ式火山。いずれの方向から眺めても円錐形の均整のとれた姿は美しく、年間を通して人々の目を楽しませてくれる。東海道本線や新幹線の車窓から見ると、右手に宝永山、左手には荒々しい剣ガ峰大沢が望め、初めて見る人の心を奪う。  昔は白装束姿で富士宮の浅間(せんげん)神社から、3日も4日もかけて歩き通したという話を古老から聞いたことがある。現在では、富士宮と御殿場を富士山スカイラインが結び、途中からさらに標高2400m辺りまで支線が延びているので、労せずして雲上の人になれる手近な山となった。  日本で一番高い山、美しい山であれば、一生に一度は登ってみたい願望は誰にでもある。7月、8月の2カ月間が富士登山の時期に当たり、7月1日をお山開き、8月31日を山じまいと呼ぶ。  山小屋や石室が営業を始めると、日本各地や外国の人々も3776mの山頂を目指して集まってくる。特に学校が夏休みに入り、梅雨が明けたころから8月の旧盆までは、老若男女が連日押し寄せ、お山は満員となり、登山道は渋滞し、山小屋からは人があふれる。  富士宮口から登ろうとする場合は東海道新幹線の新富士駅、三島駅などからの登山バスで五合目まで行き、自分の足で山頂へ向けて歩きだすことになる。山梨県側には吉田口があり、東京方面からの登山者が多い。  目の前にそびえる富士山はすぐそこに見えるため、山の未経験者は始めからスピードを出しすぎ、7合目か8合目付近でたいていバテてしまう。登り一辺倒の富士山は始めから最後まで、ゆっくり過ぎるほどのペースで歩くことがコツである。新6合から宝永火口へ行く巻き道が御中道コースで、標高2300mから2500mを上下しながら富士山の中腹を1周することができたが、剣ガ峰大沢の崩壊で通行不能になっている。  山慣れたパーティならば新6合から左に入り、赤ペンキや踏み跡を拾いながら、いくつもの沢を渡り3時間もかければ大沢まで行くことができる。辺りは樹林帯で、シャクナゲの群落やクルマユリやシオガマなどの高山植物が咲く。  9合目右側の深い沢に残る万年雪は、山麓からも見ることができる。富士宮口を登りつめると正面に浅間神社奥ノ院がある。隣は郵便局。もうひとふんばりすると、最高地点の剣ヶ峰。山頂にはかつては毎日データを送り続けていた気象観測所跡が残っている。天候に恵まれたならば噴火口の周囲を歩く御鉢巡りが楽しめる。

初めて登る富士山

どんな服を着ていけば? どんなルートがあるの? どこに泊まればいいの?・・・そんな疑問に答えつつ、富士山の魅力をお伝えします。

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