低山ながらも見どころ登りごたえ充実の筑波山へ

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読者レポーターより登山レポをお届けします。寺尾雄二さんはほぼ毎週行っているという筑波山へ。

文・写真=寺尾雄二


梅雨の合間をねらって筑波山へ行きました。筑波山は低山ながらも、急登、岩場など、変化に富んだ山歩きができるため、ほぼ毎週のようにトレーニング山行に訪れています。

駐車は筑波山神社近くの駐車場を利用。平日の朝なので、神社門前のみやげ屋は、閉まったままの店もありました。筑波山神社の周辺には、市営・民間含め多くの駐車場があり、紅葉時期を除けば休日でもすべてが満車になることはありません。

筑波山神社の「茅の輪くぐり」
筑波山神社の「茅の輪くぐり」。毎年6月と12月に設置

神社での参拝後、右手の白雲橋コースから入山。平日のため、登山者は少なめです。途中「酒迎場」にて、つつじヶ丘(ロープウェー山麓駅)方面の道を見送り、山頂方面の道を進みました。ここまで緩やかだった登山道は以降傾斜を増し、弁慶茶屋跡までは、うっそうとした樹林帯の登山道が続きます。

筑波山・弁慶茶屋跡
弁慶茶屋跡。昨年3月に新しい休憩舎が完成

弁慶茶屋跡ではつつじヶ丘からの登山道が合流しますが、平日のため休憩する登山者はまばらでした。ここからは、登山道の雰囲気がガラリと変わります。

筑波山・弁慶七戻り
弁慶七戻り

写真の「弁慶七戻り」をはじめ、山頂手前まで奇岩群を見ながらの登高です。筑波山は標高こそ1000mに満たない山ですが、独立峰ゆえに風が抜ける場所が多く、奥多摩や丹沢の低山と比べると、夏でも意外と快適なハイキングが楽しめます。山頂近くでは広葉樹の比率も高く、夏場は強い日差しをさえぎり、逆に冬場は葉を落とし、日差しのぬくもりを感じさせてくれます。

ロープウェーの支柱脇を通過すると、山頂はもうすぐ。最後の岩場を登り切り、女体山頂(877m)に到着。当日は梅雨の合間で気温も高く、もやもかかっていましたが、冬場、空気の澄んだ晴れた日であれば、山頂からの展望は抜群で、南側には霞ヶ浦、そこから西側に目を移すと、都心の建物から丹沢、富士山、奥多摩、秩父の山々、さらには浅間山、上越方面の山々を望むことができます。

筑波山・女体山山頂
女体山山頂
筑波山・山頂からの眺望
山頂からの眺望。左にロープウェー「つつじヶ丘駅」、山波の先に霞ヶ浦を望む

筑波山は山頂が二つある双耳峰で、もう一つの山頂である男体山(871m)へは山頂連絡路によってつながっています。女体山を後に、連絡路を緩やかに下って行くと筑波山神社の近くから通じるケーブルカー山頂駅のある御幸ヶ原(みゆきがはら)に到着。休日にはケーブルカーを利用する観光客も訪れ、非常ににぎわう場所ですが、当日は登山者も含めて人はまばらでした。広い広場にはみやげ屋が並び、飲料の購入や食事をとることもできます。また広場の一角には「バーナーエリア」が区画されており、コンロなどの火器はこの中で使用できます。

筑波山・みやげ屋が並ぶ御幸ヶ原
みやげ屋が並ぶ御幸ヶ原。奥のピークは男体山
筑波山・御幸ヶ原のバーナーエリア
御幸ヶ原のバーナーエリア。火器の使用はこの中で

御幸ヶ原からは、木の階段を登り男体山へ。若干の急登になりますが、最後の岩場を登り切り、手すりのある石段を抜けて男体山頂に到着。

筑波山・男体山頂
男体山頂。社殿の反対側が展望テラス

男体山頂のテラスは、以前うっそうと茂っていた木々が取り除かれ、西側から北側にかけての展望が一気に広がりました。冬の晴れ間であれば、この場所からも日光連山も望むことができますが、やはり季節柄、見晴らしはいまひとつでした。男体山頂からはいったん御幸ヶ原に戻り、帰路は直接、筑波山神社に通じる御幸ヶ原コースへ。

最初は整備された木の階段を一気に下りますが、梅雨の合間で滑りやすいため、慎重に進みます。途中、筑波山を水源とする男女川(みなのがわ)の水場があり、当日は、豊富に水が出ていました。

筑波山・男女川の水場
男女川の水場。梅雨時と降雨後はよく水が出ている

御幸ヶ原コースはケーブルカーと並行に続いており、水場のある場所から、さらに下って行くと、上り下りのケーブルカーが交差する箇所に休憩舎があります。ちょうど、休憩舎に到着したのと同時に目の前をケーブルカーが通過しましたが、やはり平日のため、乗客は少なかったです。

筑波山・ケーブルカー交差地点(中間点)の休憩舎
ケーブルカー交差地点(中間点)の休憩舎。こちらも昨年3月に整備された
筑波山・休憩舎前を行きかうケーブルカー
休憩舎前を行きかうケーブルカー

休憩舎から先も急傾斜を交えた道が続くので、スリップに注意して下ります。並行して見え隠れしていたケーブルカーから離れ、道が緩やかになると、間もなくコンクリートの道に合流。この道は筑波山神社からケーブルカー山麓駅(宮脇駅)に続く道で、休日は観光客も加わりにぎやかになりますが、この日はひっそりとしていました。

普段であれば神社前を通過し、そのまま駐車場に向かうのですが、社殿脇の裏手へ向かい、この時期に咲くアジサイを見に立ち寄りました。数はそれほど多くはありませんが、咲いているアジサイを見ると、季節を感じられます。

筑波山・筑波山神社境内裏手に咲くアジサイ
境内裏手に咲くアジサイ

ほぼ毎週のようにトレーニング山行に訪れている筑波山ですが、この時、欠かさずに持っていくのが「トング」と「ゴミ袋」です。歩きながら、落ちているゴミを拾いますが、今回も使い捨てマスク、あめの包み紙、ティッシュなどのゴミと、道のわきに置かれたままのタオル、軍手などを回収しました。登山中、気づかずにうっかりと落としてしまうのは仕方ないと思いますが、ハイカー各自のちょっとした配慮で、ゴミが減ればなによりだと思います。

(山行日程=2024年6月27日)

立ち寄り情報
「旧筑波山郵便局」

旧筑波山郵便局
筑波山麓では筑波山梅林が有名ですが、おすすめしたい場所が「旧筑波山郵便局」です。神社を出たすぐ先にあるホテル青木屋の左側の階段道を下り、車道を渡って1分ほどのところにひっそりと立っています。風情のある建物で、「日本の道百選」に選定されている「つくば道」の入口付近にあります。4月1日と11月1日のみ開局し、当日は絵葉書などを販売しています。ぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか?

MAP&DATA

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コース

筑波山神社~白雲橋コース~女体山頂~(山頂連絡路)~男体山~御幸ヶ原コース~筑波山神社(参考コースタイム:4時間)

寺尾 雄二(読者レポーター)

寺尾雄二(読者レポーター)

埼玉県三郷市在住。定年退職後の現在、週1回のペースで筑波山に登っています。その他、春は残雪の北アルプス、秋は日本山岳耐久レース、元日の雲取山が年間のルーティンです。体力を維持しこれからも山を楽しみたいと思います。

この記事に登場する山

茨城県 / 八溝山・筑波山

筑波山 標高 877m

 昔は富士山と並び称される東国の名山だった。万葉集に筑波山を詠んだ長歌・短歌が25首もあるのがそれを物語っている。  今は誰でも登れる行楽の山。南面の筑波山神社の脇から出るケーブルカーと、東面のつつじガ丘からのロープウェイが、山頂近くまで昇っている。登山道も四方から標高800mの御幸(みゆき)ガ原(はら)を目指しており、その中の3コースが首都圏自然歩道に認定されている。山麓の北条から筑波山神社に至るつくば道(神郡(かんごおり)街道)は「日本の道100選」に入っている。  山頂部は御幸ガ原を挟んで男体山(870m)と女体山(876m)の双耳峰になっており、イザナギノミコトとイザナミノミコトを祭る筑波山神社の奥宮を置いている。男体山を一周する自然研究路では、筑波山で発見された貴重な植物や、ツクバの名を冠した珍しい草花を見つけることができる。

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